2021 Fiscal Year Research-status Report
初期地球表層のリンの化学形態と高精度Cr-Ti安定同位体比を用いた起源物質の解明
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20K14592
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉屋 一美 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (00636897)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 初期地球 / リン / Cr-Ti安定同位体比測定 / スフェリュール / PGE |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は新たに研究協力者から入手した南アフリカ、バーバートン緑色岩体の32憶年前の隕石衝突の記録とされるスフェリュールを含む砂岩(S3層)を用いて(1)リンを含む鉱物の化学形態の観察についての一連の作業と(2)高精度Cr-Ti安定同位体比測定のための準備を行った。 (1)についての作業内容は、岩石薄片を作成、顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM-EDS)による観察でスフェリュールの内部に含まれる鉱物の観察と同定を行い、微小部X線分析装置(XGT)によるチップ全体の元素分布の観察を行い、リンを含む鉱物の形状の分類とその分布状態を把握した。その後、分類に従ってX線吸収微細構造(XAFS)を計測し、リンを含む鉱物の化学状態の観察までの一連の流れを実施した。また、宇宙起源物質の比較対象として、パラサイト隕石の1つであるSeymchan隕石に含まれるリンを含む鉱物であるシュライバーサイト(Fe, Ni)3P)についてもSEM-EDSによる観察を行い、X線吸収微細構造の測定を行った。現在、その結果をもとに学会発表と投稿論文の作成作業を行っている。 (2)については、S3層中の複数のレイヤーから採取した試料からチップを作成、研磨し、CrとTiの測定に必要な量を得るためマイクロドリルを用いて個々のスフェリュールを削り出した。比較のため、スフェリュールに類似した構造を持つ火山豆石についても同様に粒子を削り出した。Cr-Tiの分離と測定は協力研究者に依頼、現在は得られたCrとTi同位体比の結果をもとにインパクターについての議論を行い、今後の方針策定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外調査による新たな試料採取がほぼ不可能な中、必要な試料を入手できたことで一通りの作業を行うことができたことに感謝している。しかしながら、初年度行う予定であった南アフリカ共和国での地質調査と岩石採取は実施できていないため、現時点では複数試料の入手という目的の実施と全体の遅れを挽回するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はこれまでの結果をまとめ投稿論文を作成することと、クロマイト中のPGE測定などの重要な追加作業を行いたいと考えている。上記のとおり、試料の追加入手についてのめどは立っていないため、今後研究対象地域について長期にわたって研究を行っている海外の研究者と連携し、試料提供や研究について相談し、助言を得る方向で進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
海外調査と試料採取を行えなかったことと、学会発表などに至らなかったことが主な理由であり、今後の試料入手や学会発表で使用する予定である。
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