2022 Fiscal Year Annual Research Report
初期地球表層のリンの化学形態と高精度Cr-Ti安定同位体比を用いた起源物質の解明
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20K14592
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉屋 一美 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (00636897)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 初期地球 / リン / Cr-Ti安定同位体比測定 / スフェリュール / PGE |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに行った顕微鏡観察やSEM-EDS、micro-XRF測定により、南アフリカ、バーバートン緑色岩帯で発見されたスフェリュール層のうち、S3スフェリュール層に含まれるリン酸塩鉱物をその形状と産状によって複数のタイプに分類されることが分かった。スフェリュールそのものがリン酸塩を含む細粒の鉱物でできているもの、スフェリュールの渕のみがリン酸を含む細粒の鉱物でできているもの、スフェリュール形成よりも古い砕屑性鉱物の3種類に加えて、スフェリュール形成時の情報を最も保存している可能性があるNiに富むクロムスピネル中のインクルージョンとデンドライト構造を示すNiに富むクロムスピネルと共存する微細なリン酸塩鉱物の5種類である。これらのそれぞれについて化学組成を分析した上で、リンの価数を調べるためにXAFS測定を行った。化学組成はデンドライト構造を示すNiに富むクロムスピネルのみが異なっており、AlやSiを含むことが分かった。 XAFS測定はNiクロムスピネルと共存する微細なリン酸塩を除いて測定することができ、すべて5価のリンであることが判明した。また、スフェリュール中に含まれるNiに富むクロムスピネルの一部には白金族元素の1つであるPtクロットが見られるものがあることが分かった。これらの結果をまとめ、国内外の学会でポスター発表を行った。 これまでの研究は、バーバートン緑色岩帯で発見されたS3スフェリュール層の中でも唯一入手できたJay's Chertと呼ばれる地域の岩石だけを用いて観察を行ってきた。S3層スフェリュールはほかの地域でも発見されており、産状や組成が異なることが指摘されている。それらの岩石を入手して、比較検討するため、Stanford大学のLowe教授に一部試料を譲渡して頂いた。現在は、それらの岩石を用いて引き続きスフェリュールの産状や化学組成の違いを調べている。
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