2023 Fiscal Year Research-status Report
エディアカラ紀動物進化を支配した酸化還元境界変動の解明
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20K14595
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
古山 精史朗 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (60760527)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エディアカラ紀 / 動物進化 / 南中国 / 堆積相解析 / 揚子プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
エディアカラ紀は、爆発的な生物進化であるカンブリア爆発の直前の時代に相当し、その古海洋環境の理解は、カンブリア爆発の謎を解明する鍵となる。エディアカラ紀の古海洋環境の変遷と生物進化の因果関係を明らかにするため、本研究ではエディアカラ型動物が酸素および有機物摂取の容易な酸化還元境界周辺に生息していたという仮説を検証する。本研究で対象とするフィールドは、エディアカラ紀の浅海から深海の堆積相が広く分布する南中国である。2023年度になり、ようやく海外渡航も緩和された。そこで、2023年10月および2024年3月に中国貴州省Beidoushan地域とWenghui地域に分布するエディアカラ系Doushantuo層について、それぞれ調査を行った(調査旅費・消耗品費を計上)。Beidoushan地域では浅海の堆積相が、Wenghui地域では陸棚斜面の堆積相がそれぞれ分布しており、また両地域は化石が豊富に産出することで知られる。しかし、これまで両地域の堆積環境の詳細は不明であった。そこで両地域について詳細な堆積学的検討を行った結果、Beidoushan地域の化石産出層準は、上部外浜から干潟のような堆積環境であったことが示唆された。一方、Wenghui地域の化石産出層準は、これまで陸棚斜面と考えられていたが、それよりも浅い内側陸棚から外側陸棚で堆積したと考えられる。これらの結果は、エディアカラ紀における初期動物の生息環境とその進化の解明に大きく寄与する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid19により,2022年度まで岩石試料採取のための中国渡航ができなかったが、2023年10月および2024年3月に中国での調査を実施することができた。これにより、当初の調査予定地について詳細な堆積相解析およびサンプリングを実施できたが、調査時期の大幅な遅れが、研究の進捗の遅れの原因となっている。Covid19により渡航できなかった期間に、これまで取得した既存試料を用いて地球化学的分析を行ってきた。これらの結果をもとに、2023年10月以降の調査では、データの解像度の低い層準について詳細なサンプリングを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年10月以降に取得した追加サンプルについて、現在、軽元素同位体分析を進めている。これらに加え、希土類元素パターンから酸化還元環境の変遷を明らかにする予定である。地球化学的分析から得られた結果を、堆積相解析の結果と併せて検討し、南中国におけるエディアカラ紀動物進化の謎について明らかにする。得られた成果は学会および論文として公表する予定である。
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Causes of Carryover |
Covid19により現地調査の実施が大幅に遅れたため、2023年10月および2024年3月に取得したサンプルの分析を現在進めている。これらの成果を今後、学会および論文で公表する(学会旅費および英文校閲費を計上)。
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