2020 Fiscal Year Research-status Report
Thermo-mechanical coupled gradient-enhanced reduced order multi-scale analysis for the next-generation material design
Project/Area Number |
20K14603
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松原 成志朗 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40823638)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 勾配型マルチスケール理論 / 熱・機械連成解析 / 熱・機械・化学連成解析 / 熱可塑性樹脂 / 熱硬化性樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では,当該研究で目的とする勾配型マルチスケール解析手法の開発と繊維強化樹脂への応用に向けて,①熱・機械連成解析手法の改良と②勾配型マルチスケール理論の構築を行った. 項目①では,繊維強化樹脂の母材である熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の伝熱・変形挙動を予測するための材料構成則と数値計算手法を開発した.前者については,加工プロセス下で問題となる硬化・収縮による残留応力を評価するために,硬化反応・熱伝導・変形挙動の強連成問題を新たに定式化した.また,後者については,非関連流動則に対する熱・機械強連成問題を新たに定式化し,自己発熱を考慮したときに構造物内の温度場と変形場がどう変化するのかを解析した.繊維強化樹脂の材料挙動は母材のそれが大きく反映されるため,項目①の研究成果は勾配型マルチスケール解析手法の工学的な適用可能域を広げるために非常に重要である. 一方,項目②では,勾配型マルチスケール解析手法の開発に取り組んだ.具体的には,複合材料の非均質性を観測しうるミクロスケールでの熱・機械連成挙動の非定常性を考慮するために,ひずみ勾配理論とのアナロジーからミクロ構造単位(RVE)の寸法効果を考慮した新規の熱・機械連成マルチスケール解析手法を定式化した.そして,検証例題として(I)均質な超弾性体の熱・機械連成問題と(II)RVE境界の摂動温度が拘束された場合の非均質な超弾性体の熱・機械連成問題を解析した.結果的に(I)では,古典的な伝熱工学,連続体力学から導かれる理論解との一致を確認し,本手法が古典理論との整合性を満足することを示した.また,(II)では,非均質性を陽に考慮した構造体に対する解析結果と比較を行い,摂動温度拘束の条件下で得られるべき解が本手法によって正しく評価できることを確認した.したがって,当該研究で基盤となる勾配型マルチスケール理論の開発は概ね完了したといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究の主軸となる勾配型マルチスケール解析理論の開発においては,未だ超弾性体を対象とした検証に留まっているもの,参照解との良好な一致を確認しており,概ね開発は出来ていると判断したためである.また,繊維強化樹脂への応用を見据えた研究については,論文としての成果も出ており,進捗としては良好であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,勾配型マルチスケール解析理論のより一般的な適用性を検証するために,非弾性材料を対象とした検証を実施する.そして,理論の微修正が完了した後に,当該研究でもう一つの主軸である次数低減解析手法の開発に移行する.なお,理論開発の途中で両スケールの支配方程式の完全な分離は,原理的に極めて困難であるということが分かったため,ミクロ構造解析の計算負荷を低減するような手法開発に変更する.ただし,ベースとする次数低減法はあくまでも固有直交分解やニューラルネットワークを用いる予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,COVID-19によって学術講演会等がすべてオンラインとなり,当初予定していた旅費が少なくなったためである.次年度では,次数低減解析手法の開発に本格的に取り組むが,研究を遂行するにあたって計算機資源のさらなる拡充が必要であるため,助成金の大半をこちらに充てる予定である.
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