2020 Fiscal Year Research-status Report
その場観察に基づくCFRPの界面特性同定とマルチスケール損傷解析手法の構築
Project/Area Number |
20K14606
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 圭太 名古屋大学, ナショナルコンポジットセンター, 准教授 (00760935)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 複合材料 / CFRP / 非弾性特性 / 界面特性 / その場観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ミクロ構造に生じる破壊モードとマクロ構造における力学的特性の変化を関連付けた繊維強化複合材料のマルチスケール損傷解析手法を構築することを目的とする.そのために,樹脂母材の弾粘塑性損傷挙動を考慮したCFRPの損傷進展解析手法に結合力要素を導入することで,繊維/母材界面および樹脂母材の損傷挙動を評価可能な非弾性損傷解析手法を構築するとともに,デジタル画像相関(digital image correlation : DIC)法によるその場観察技術を適用し,繊維/母材界面特性を逆解析的に評価可能な手法を確立することを試みる.また,提案手法を用いてCFRPに代表される繊維強化複合材料の損傷進展解析を実施し,その損傷特性を数値解析により評価することで,CFRP構造材などの高精度設計・設計効率向上に資することを目標とする. 上記目的を達成するため,本年度においてはまず,数値解析に使用する非弾性損傷進展解析コードを構築するとともに,炭素繊維と樹脂母材から構成されるミクロモデルを用いて数値実験を実施した.解析の結果,樹脂母材の弾粘塑性損傷特性ならびに結合力要素のパラメータに応じて,繊維/樹脂界面を起点とする損傷モードや樹脂母材起点の損傷モードが現れ,それらの損傷モードに応じて応力・ひずみ分布が変化する様子が確認された.また,DIC法によるその場観察試験を実施するための観察装置を構築するとともに,その動作検証を実施し,デジタルマイクロスコープ用レンズを使用することで高倍率でのDIC計測が可能であることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的達成のため,本年度は樹脂の弾粘塑性損傷構成式と繊維/樹脂界面の結合力要素を組み込んだマルチスケール損傷進展解析コードを構築するとともに,DIC法を用いたその場観察手法を構築する予定であった.この予定に対し,解析コードの構築と動作確認を行ったとともに,その場観察試験用の試験環境の構築も完了した.一方で,その場観察試験に使用予定の単繊維試験片については適切な作製方法を引き続き検討中であり,当初計画からの若干の遅れがある.
|
Strategy for Future Research Activity |
まず,昨年度の検討事項を踏まえて単繊維試験片を作製し,構築した観察装置群を使用して単繊維試験片のその場観察試験を実施する.得られた試験結果に対し,数値シミュレーションにより比較解析を実施することで,繊維/樹脂界面特性の同定を試みる.さらに,取得したパラメータを用いてミクロ構造を考慮した複合材料のマルチスケール非弾性損傷進展シミュレーションを実施し,実験結果と比較することで提案手法の妥当性について検証を実施する.
|
Causes of Carryover |
講演会等のオンライン開催により旅費の支出が無くなり,主にその差額分を次年度使用額として繰り越すこととした. 翌年度における使用計画としては,主に試験片作製に関連する材料の購入と治具製作,および実験用消耗品の購入に使用する予定である.
|