2020 Fiscal Year Research-status Report
Machine learning-assisted microstructure design by magnetic Barkhausen noise analysis
Project/Area Number |
20K14607
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山崎 貴大 名古屋大学, 工学研究科, 学振特別研究員(PD) (40847240)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 磁歪材料 / MEMS技術 / 機械学習 / 組成制御 / バルクハウゼンノイズ / 振動発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,MEMS技術と機械学習を連携した微小磁気信号(バルクハウゼンノイズ)分析を利用した組織構造モデルの構築を研究目的としている.令和2年度では,合金組織の制御可能な新たな高磁歪材料の創製を検討し,その磁気特性評価を実施した.具体的には,(1)合金組成とその熱処理条件の検討,(2)磁気・磁歪特性の評価を実施することにより,高磁歪を示す合金組成とそのナノ結晶組織の関係を明らかにし,優れた軟磁性と高磁歪を併せ持つ新磁歪材料の創製が可能であることを見出した.現在,これらの研究成果を学術論文として報告する準備を行っている.また,本研究課題に関する研究内容について,筆頭著者として学術論文1編,共著者として学術論文1編の研究業績を挙げており,おおむね順調に進展していると考えている.以下に進捗状況の詳細を示す. (1)では,アモルファス合金中に生成されるα-Feナノ結晶に固溶可能な他元素を添加し,ナノ結晶化挙動及ぼす添加元素量と熱処理条件の影響を検討した.さらに,示差走査熱量測定により熱処理温度を決定するとともに,熱処理中の磁場が磁歪特性に及ぼす影響を調査した.(2)では,Si基板上に成膜した本磁歪材料の磁気・磁歪特性を電磁コイルを用いた光てこ法により調査することで,磁歪特性が元素添加に伴い変化することを明らかにした.一方で,本研究では微小濃度領域における元素添加を実施していないため,ナノ結晶/アモルファス構造を形成かつ高磁歪を示す合金組成の調整および治具を用いた熱処理条件の改良が必要となる. 今後の推進方策として,上記の課題を解決していくとともに,本研究の主要課題であるバルクハウゼンノイズ測定のためのMEMSデバイスの構造設計及び作製に取り組む予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は,合金組織の制御可能な新たな高磁歪材料の創製を検討し,その熱処理条件が及ぼす磁気・磁歪特性の影響を調査した.現在,これらの研究成果を学術論文として報告する準備を行っている.また,本研究課題に関する研究内容について,筆頭著者として学術論文1編,共著者として学術論文1編の研究業績を挙げており,おおむね順調に進展していると考えている.以下に進捗状況の詳細を示す. まず,磁歪材料の作製とその熱処理条件について検討した.本研究で対象とする磁歪材料はα-Feナノ結晶の分散析出したアモルファス合金をベースとしており,このナノ結晶に固溶可能かつ高磁歪が期待できる元素添加を選定した.この合金組織およびナノ構造設計により,アモルファス合金の有する高軟磁性に高磁歪を付与した新しい材料の創製が期待できる.これらのナノ結晶化挙動はその合金組成や熱処理条件に大きく依存するため,示差走査熱量測定により熱処理温度を決定するとともに,その熱処理中の磁場の有無が磁歪特性に及ぼす影響を調査した.さらに,Si基板上に成膜した本磁歪材料薄膜の磁気・磁歪特性を電磁コイルを用いた光てこ法により調査することで,微小元素添加に伴う磁歪特性の変化およびその増加傾向を確認することに成功した.一方で,ナノ結晶/アモルファス構造を形成し,高磁歪化が可能な添加量を調査しきれていないため,合金組成および熱処理条件の更なる調整を検討していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,合金組織の制御可能な新たな磁歪合金の創製を検討し,その熱処理条件が及ぼす磁気・磁歪特性の影響を調査し,微小元素添加に伴う磁歪特性の向上を明らかにした.一方,本研究では,MEMS技術と機械学習を援用したバルクハウゼンノイズ測定による磁性薄膜の微構造評価が可能な計測手法の構築を目指しており,本材料を用いたMEMS構造の設計及びデバイスを作製する必要がある.しかし,現状では,磁歪材料の元素添加と磁歪特性の関係から,添加元素量と熱処理条件の更なる改良,MEMSデバイスの設計・作製等の課題を残しているため,これらを今後の推進方策とする. 添加元素量と熱処理条件の更なる改良については,現状,添加元素の微小領域(<5at%)までしか試みれていないため,今後,添加量範囲を拡大することで 更なる高磁歪化を目指す.元素添加に伴いナノ結晶化温度も変化するため,その熱処理条件の探索も重要である.この時,磁場分布に関しては有限要素解析を用いた磁場印加方法を検討することで,最適な磁場強度・ベクトルが得られるような熱処理環境を実現させる.このようにして,磁歪特性の向上を実現する合金組成の解明を目指す. さらに,MEMSデバイスについては,既にフォトリソグラフィーを予備実験として検討しており,Si基板上に成膜した磁歪薄膜における基板水平方向の磁束変化を検出可能なMEMSコイル構造の作製を進めている.磁歪材料薄膜をコア材として用いたMEMSコイルを完成後,本磁歪材料からバルクハウゼンノイズ測定を実施することで,微小な磁気信号の検出・評価を実施する予定である.
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Research Products
(3 results)