2021 Fiscal Year Research-status Report
振動疲労き裂進展時の力学場の解明とピーニングによる振動疲労強度向上技術の構築
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20K14610
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 惇司 岡山大学, 自然科学学域, 助教 (50752052)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 曲げ振動 / 共振 / 疲労 / き裂進展 / 伸び / 固有振動数 / ピーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,①振動疲労き裂進展時のき裂先端近傍の力学場の状態とそれがき裂進展とともにどう変化するのかを明らかにすること,および,②ピーニングによる振動時の疲労強度向上技術を構築することを目的とする.それぞれの目的に対して,本年度に推進した主な実施内容を以下に示す.
①試験片切欠き部の表面と裏面にひずみゲージを貼付し,試験片の表面と裏面のひずみを測定することで,振動試験時のマクロな力学状態を検討した.その結果,曲げ振動試験においては,純粋な曲げに加えて遠心力による引張が加わるが,今回の試験片においては,遠心力による引張ひずみは,曲げで付与される最大引張ひずみに比べて無視できる程度であることが分かった.また,昨年度に確認された疲労損傷とともに振動モード(曲げ振幅)が変化する現象について,高速度カメラを用いた観察,ひずみゲージによる破断部近傍のひずみの測定,プラスチックレプリカ法を用いたき裂進展挙動の観察を行うことで検討した.その結果,疲労損傷とともに試験片がわずかに伸びることおよび疲労き裂が進展することにより,固有振動数が変化することが考えられた.
②振動疲労強度を向上させるピーニング手法として,本年度はニードルピーニングを検討した.その結果,振動疲労寿命をわずかに増加させる可能性はあるものの,顕著な変化は確認できなかった.その原因として,圧縮残留応力の付与や硬さの向上等の疲労寿命を向上させる影響と,表面粗さの増加等の疲労寿命を低下させる影響が同程度であるためだと考えられる.そのため,次年度は,微粒子ピーニングを用いてピーニングの影響について検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,昨年度の遅れを少し取り戻したが,当初の計画の8割程度の進捗状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
振動疲労に及ぼす試験片形状および材料種類の影響を検討する予定である. ピーニング処理による振動疲労強度向上に関しては,本年度はニードルピーニングを用いて行ったが,次年度はニードルピーニングに加えて微粒子ピーニングも用いて検討する予定である.
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Causes of Carryover |
研究進捗の遅れにより,学会参加や論文作成時の英文校正等を次年度に延期することになったため,次年度使用額が発生した.
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