2021 Fiscal Year Research-status Report
金属に炭素繊維を半含浸させた金属-樹脂系複合材料の高強度接合手法実現と力学的評価
Project/Area Number |
20K14611
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
金崎 真人 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (60752110)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 異種材接合 / CFRP / FRP / アルミニウム合金 / マグネシウム合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では、金属に直接繊維を導入し、同時にその金属表面から露出させることで繊維に直接金属-PMC間の荷重を伝達させることにより、異種材接合の解決を試みる提案をした。初年度はCF織物片面へのAlBO導入条件や溶融金属含浸条件を模索し、CFを半含浸した金属板を作製する。その上にPMCを成形することで繊維強化異種材接合構造を持つ試験片を作製することを目標とした。 初年度では、繊維強化異種材接合構造を持つ試験片の作製には至っていなかった。そこで第2年度では金属への濡れ性改善を目的とし、織物の材料の種類をCF、ガラス繊維(GF)、アルミナ繊維(Al2O3)の3種類を検討するとともに、不織布形状と平織形状を検討した。また、金属もアルミニウム合金(Al)だけでなく、マグネシウム合金(Mg)を準備した。これら繊維とその織形態、金属を網羅的に組み合わせ、アルゴンガスで不活性雰囲気にしたマッフル炉にて加熱し、繊維への金属の含浸状態を比較した。 この結果、MgはGF、Al2O3へ織形態を問わず自然含浸した。純Alについては、CFへの含浸は困難であるが、GFおよびAl2O3については酸化を抑制できれば含浸できる可能性が示された。これによって、繊維強化異種材接合構造作製のための道筋ができた。 第3年度ではMgを中心に軽金属中に半含浸のGF、Al2O3部を形成し、繊維強化異種材接合構造を持つ試験片の作製を目標とする。ただし、使用していたマッフル炉の電熱線が破損したため、不活性雰囲気を維持しつつ、一定の長さを持つ試験片を成形するためのマッフル炉を準備する必要がある。その後、順次MgとGF、Al2O3の組み合わせによる含浸実験と成形物の断面観察を行い、繊維強化異種材接合構造を持つMg試験片を作製するための条件の導出と試験片の作製、力学試験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本申請では、樹脂系複合材料(PMC)に用いられる炭素繊維(CF)を金属側に半含浸することで露出させ、その露出した繊維ごと金属上にPMCを成形することで、繊維に直接金属-PMC間の荷重を伝達させることにより、異種材接合の解決を試みる新規接合手法(繊維強化異種材接合構造)を提案した。しかしながら、CFへの金属含浸に必要なAlBOが販売停止となったため、昨年度は代替となる材料や含浸方法を模索した。このため研究全体の計画から進捗がやや遅れていると判断した。また、マスクであるPPをCFクロスへ片面のみ含浸させることに成功した。 今年度は金属への濡れ性改善を目的とし、織物の材料の種類をCF、ガラス繊維(GF)、Al2O3繊維(Al2O3)の3種類を検討するとともに、不織布形状と平織形状を検討した。また、金属もアルミニウム合金(Al)だけでなく、マグネシウム合金(Mg)を準備した。これら繊維とその織形態、金属を網羅的に組み合わせ、アルゴンガスで不活性雰囲気にしたマッフル炉にて加熱し、繊維への金属の含浸状態を比較した。 この結果、CFへAl、Mgは自然含浸することがなかった。一方、マグネシウム合金はGF、Al2O3へ織形態を問わず自然含浸した。一般的にMgとSiO2は高温化で化学反応することが知られており、これによって繊維間への金属の含浸が促された可能性がある。また、Al2O3繊維にはSiO2が含まれているため、GF同様の原理で自然含浸が促された可能性がある。 純Alについては、CFへの含浸は困難であるが、GFおよびAl2O3については酸化を抑制できれば含浸できる可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況より、第3年度ではMgを中心に軽金属中に半含浸のGF、Al2O3部を形成し、その上にCFRPを成形することで、繊維強化異種材接合構造を持つ試験片の作製を目標とする。 まず第1年度に達成したCFへPPのマスクを半含浸させたものを準備し、溶融したMgを含浸させつつPPを熱分解することで繊維強化異種材接合構造を作製する。ただし、今年度まで使用していたマッフル炉の電熱線が破断するなどの破損が生じたため、不活性雰囲気を維持しつつ、一定の長さを持つ試験片を成形するためのマッフル炉を準備する必要がある。 マッフル炉の準備が終わり次第、順次MgとGF、Al2O3の組み合わせによる含浸実験と成形物の断面観察を行い、繊維強化異種材接合構造を持つMg試験片を作製するための条件を検討する。その後、導出された条件によって試験片の作製と力学試験を実施する。
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Causes of Carryover |
初年度の研究進捗が芳しくなかったほか、それによる学会などへの発表がなかったことから、次年度使用額が生じた。第2年度に、ガラス繊維やアルミナ繊維へのマグネシウム合金の含浸に成功したため、順調にいけば今年度学会発表などの経費に充てることができる。また、実験に使用していたマッフル炉が故障したため、この修繕あるいは新規マッフル炉の購入費用に使用することを計画している。
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