2022 Fiscal Year Research-status Report
金属に炭素繊維を半含浸させた金属-樹脂系複合材料の高強度接合手法実現と力学的評価
Project/Area Number |
20K14611
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
金崎 真人 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (60752110)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異種材接合 / 無機繊維 / 軽金属 / FRP |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では、金属に直接繊維を導入し、同時にその金属表面から露出させることで繊維に直接金属-PMC間の荷重を伝達させることにより、異種材接合の解決を試みる提案をした。初年度はCF織物片面へのAlBO導入条件や溶融金属含浸条件を模索し、CFを半含浸した金属板を作製する。その上にPMCを成形することで繊維強化異種材接合構造を持つ試験片を作製することを目標とした。 初年度では、繊維強化異種材接合構造を持つ試験片の作製には至っていなかった。そこで第2年度では金属への濡れ性改善を目的とし、織物の材料の種類をCF、ガラス繊維(GF)、Al2O3繊維(Al2O3)の3種類を検討するとともに、不織布形状と平織形状を検討した。また、金属もアルミニウム合金(Al)だけでなく、マグネシウム合金(Mg)を準備した。これら繊維とその織形態、金属を網羅的に組み合わせ、アルゴンガスで不活性雰囲気にしたマッフル炉にて加熱し、繊維への金属の含浸状態を比較した。この結果、MgはGF、Al2O3へ織形態を問わず自然含浸した。純Alについては、CFへの含浸は困難であるが、GFおよびAl2O3については酸化を抑制できれば含浸できる可能性が示された。 第3年度では、第2年度で作製したGFおよびAl2O3に対してMgならびにAlを含浸させた複合体の界面近傍の元素分析を実施した。この結果、強化繊維と溶湯間に化学反応が起きていることが示唆され、良好な海面が得られている可能性が示唆された。また、弊学の所有するMgの射出成形機を利用した複合体作製を実施するために、金型内の溶湯の流動のシミュレーションを行い、流速と金型形状の関係について検討を行った。この結果、型内の流動が高速で配置した繊維を乱し、目的の半含浸混合物が得られない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本申請では、樹脂系複合材料(PMC)に用いられる炭素繊維(CF)を金属側に半含浸することで露出させ、その露出した繊維ごと金属上にPMCを成形することで、繊維に直接金属-PMC間の荷重を伝達させることにより、異種材接合の解決を試みる新規接合手法(繊維強化異種材接合構造)を提案した。しかしながら、CFへの金属含浸に必要なAlBOが販売停止となったため、代替となる材料や含浸方法を模索した。また、繊維と軽金属の濡れ性についても、CFへAl、Mgは自然含浸することがないなど組み合わせに適不適があることが分かった。この点については、今後は繊維をGF、Al2O3に限定することで研究を進めていく。 このほか、半含浸した構造を得るための成形方法にも課題がある。今年度の研究成果によって弊研究室所有のMg射出成形機では半含浸構造を得ることが現状困難であることが示唆されたので、繊維側に溶湯の流動に耐えうる処理を施すか、そのほかの含浸方法について検討を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況より、第4年度ではMgを中心に軽金属中に半含浸のGF、Al2O3部を形成し、その上にCFRPを成形することで、繊維強化異種材接合構造を持つ試験片の作製を目標とする。 一方、射出成形の場合、型内の溶湯流速が高速のため繊維配向や織構造が乱れ、目的の構造を得ることが難しいことが示唆された。よって、マグネシウム合金はGF、Al2O3へ織形態を問わず自然含浸することを利用した含浸方法を検討するか、適切な手法によって織物をプリフォーム化し溶湯の流動に耐えられる構造とするか検討する必要がある。前者の方法では自然含浸に加え加圧を行うなどの工夫が必要となる可能性がある。後者の場合はプリフォーム作成に必要な無機系のバインダーを選定し、実際にプリフォームを作成するとともに、金型を検討する。
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Causes of Carryover |
射出成型が可能となった場合には金型などの費用として使用する予定であったが、シミュレーションの結果現状では困難との示唆を得たことから使用を見合わせた。 また、目的となる構造が現状まだ得られていないことから学会発表費用などの支出がない。 今後は試験片を試作するための材料費ならびにマッフル炉などの装置、もしくは目的の構造に近いものを得ることができる可能性がある装置を持つ企業などへの試作依頼費などに使用する予定である。
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