2021 Fiscal Year Annual Research Report
情報科学を材料プロセスに取り入れた耐熱高エントロピーセラミックス構造材料の創生
Project/Area Number |
20K14613
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
新井 優太郎 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 助教 (70844439)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハイエントロピーセラミックス / セラミックス基複合材料 / 耐熱材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では熱力学計算を用いて組成を設計したZr-Ti系合金を溶融し,炭素繊維と原料セラミックス粉末からなる前駆体に含浸することで炭素繊維強化耐熱ハイエントロピーセラミックスマトリックス複合材料(以下,C/RHECs)を作製し,2000℃程度の酸化雰囲気で使用可能な材料の作製を目指した。昨年度確立した材料プロセスを用いて作製したマトリックスとしてハイエントロピーセラミックスである(TiZrHfNbTa)Cが形成されたC/RHECsをアーク風洞試験装置により2000℃程度の酸化雰囲気に5min曝露した。酸化後の酸化層の厚さを曝露時間(5min)で割ったものと定義した酸化速度はこれまで超高温材料として研究されていた炭素繊維強化超高温セラミックス複合材料(以下,C/UHTC)と同等かそれ以下に抑制された。このことから,本提案のコンセプトが正しいことが実験的に立証された。C/UHTCは炭化ケイ素(SiC)を含むため,酸化雰囲気ではSiCの酸化に伴う材料表面へのSiO2の形成が更なる酸化を抑制していた。一方,2000℃程度ではSiO2が形成されずSiCの優先酸化に伴う材料消費が進行することが問題であった。一方,C/RHECsはSiCを含まなくても酸化の抑制ができていることから2000℃以上で使用可能なSiCを含まない材料の選択肢として, C/RHECsを提案することができた。一方,溶融含浸で使用した合金の組成に起因するエントロピーの低い相(Zr-Ti-C等)の形成が見られたことから,系のエントロピーの酸化速度を定量的に結びつけることは困難であった。今後は,すでに交付が決定している次年度の若手研究により低エントロピー相の形成が抑制できるハイエントロピー合金含浸法を確立することで,上記課題の解決を目指す。
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