2021 Fiscal Year Annual Research Report
固液可変セル構造流体を用いたフレキシブルな衝撃吸収メカニズムの創成
Project/Area Number |
20K14615
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
立山 耕平 立命館大学, 理工学部, 助教 (70837096)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 圧力波 / セル構造体 / ダイラタンシー / 衝撃吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、固液可変流体の作製および作製した固液可変流体に対する応力波伝播特性および超音波伝播特性の評価を行った。固液可変流体の作製には様々な可能性を検討したが、最終的にはウーブレックを用いたシンプルな構成とした。応力波伝播特性および超音波伝播特性の評価は、様々な速度域において波動の伝播速度だけではなく減衰までを評価するため、試験装置を自作して実施した。また、一般的な衝撃現象は単一の周波数ではなく複数の周波数が複合した荷重を対象とするが、本研究で作製した固液可変流体がどの周波数に対して減衰を生じるかを詳細に調べるため、超音波を用いた単一周波数における評価も並行して行った。これらの検討によって、本研究で作成した固液可変流体はある一定の速度域において応力波伝播挙動が変化する速度依存性が生じることが分かった。さらに、この速度依存性は固液可変流体の配合によって操作可能であることが示唆された。この固液可変流体の速度依存性を積極的に利用することで、衝撃荷重にフレキシブルな特性を発現することが可能となると考えられる。今後は、昨年度に3Dプリンタによって作製したシリコーンゴムを主成分とするセル外殻を用いて固液可変流体をセル構造体化する検討によって、固液可変流体の持つ速度依存性とセル構造の持つ衝撃吸収特性を融合した新しい衝撃吸収メカニズムを有する構造体を見出すことが可能となると考えている。また、本構造体は主体が流体であるがゆえに変形・破壊後、除荷に伴い自動的に破壊を自己修復が可能である。これは、変形・破壊による衝撃荷重の吸収は塑性変形によるエネルギー変換であるため一度変形・破壊した構造体は元に戻らないといったこれまでの常識を覆すものであり、衝撃吸収メカニズムとしての新規性を有すると考えられる。
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