2021 Fiscal Year Research-status Report
難削材に対してマルチスケール構造を創成する短パルスレーザ電解複合加工の開発
Project/Area Number |
20K14620
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小玉 脩平 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10867237)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 短パルスレーザ / 電解 / 複合加工 / ナノ周期構造 / 表面改質 / 電解液 / 複合構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、材料表面に複合微細構造を創成し、トライボロジー特性や濡れ性などを制御する高能率加工法を確立するため、高能率で微細構造の創成が可能な短パルスレーザ加工と形状創成や表面改質処理が可能な電解加工を複合することで、短パルスレーザ電解複合加工による複合構造の創成を実現することを目的とする。 2021年度は、電解液中短パルスレーザ照射によるナノ周期構造の創成および金属析出メカニズムを明らかにするために研究活動を行った。大気中と硫酸銅水溶液中で短パルスレーザによるナノ周期構造の創成および銅析出に対するパルス幅と繰り返し周波数の影響について検討した。その結果、パルス幅と繰り返し周波数が低い場合には熱影響が少なく、表面プラズモンの干渉により短ピッチのナノ周期構造が創成されたが、アブレーションにより粒子が散乱するため、表面に銅の析出は少なく、一方、高繰り返し周波数の場合、気泡の影響が大きく、加工が困難であるが、特定の条件でナノ周期構造の創成と銅の析出が可能であることを確認した。この研究内容は、国際会議発表3報、国内学会発表3報、国内学会誌特集記事1報にて公開した。 さらに、電解を援用することで微細に表面改質処理を実現するために、硫酸銅水溶液中で材料を通電しながら短パルスレーザ照射を行った。その結果、フェムト秒レーザに電解を援用することで、照射部全体に銅を析出することが可能であり、レーザを走査することで、マイクロスケールの線状に銅を析出することに成功した。この研究内容は、国内学会発表1報にて公開した。 今年度の基金は、主に上記の研究を遂行するための物品費、旅費、学会参加費に充てられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね予定通りであり、パルス幅および繰り返し周波数を変化させて実験および解析を行い、電磁場と熱の影響について検討し、電解援用短パルスレーザの加工メカニズムについて解明を進めている。年度末には装置の設計に取り組んでおり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に引き続き、電解援用短パルスレーザ照射による微細構造創成メカニズムおよび表面改質メカニズムの解明を行う。また、加工モデルに基づき、レーザ照射方法と電極構造の最適化を行い、装置の設計・製作を行う。装置製作後、実験により有効性を確認する。さらに、製作した加工装置を用い、難削材を含む各種材料で最適な加工条件を決定し、難削材に対して短パルスレーザ電解複合加工によるマルチスケール構造の創成を実現する。
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