2021 Fiscal Year Research-status Report
all pair法によるロバスト性とコストに優れた工作機械の熱変形補正式決定法
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20K14632
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
伊勢 大成 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (20734594)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 工作機械 / 熱変位補正 / all pair法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,少数箇所の温度測定値から熱変形を予測可能な簡易な式を導き,同式を用いて 熱変形誤差を補正する方法を提案し,現状で式の導出に経験を,実験定数の決定に多数の試験を要する同手法を,経験に因らず,低コストで迅速に熱変形補正シ ステムを構築可能とするために,熱変形解析,切削模擬試験,実験計画を利用した少数の実切削試験によって,様々な条件に対応可能な熱変形予測式を導く方法を確立する. 2020年度は,all pair法による実験計画の確立と分析手法の検討を行った.all pair法による実験条件と並行し,実験計画法による実験条件にて,工作機械の実 機で切削模擬試験および実切削試験を実施し,複数の動作条件下での稼働状態測定を行い温度、変位量を測定した.同実験は,共同研究機関の実験設備を利用し て行った.同実験にて得られたデータを用いて単一の補正式で湿式・乾式の切削条件での精度向上が可能であり,all pair法と実験計画法での実験条件により導 出した予測式の精度が同程度であり,精度を維持したまま実験回数を削減可能であることを確認した. 2021年度は,工作機械の熱変形解析手法の確立を行った.2020年度に実施した直交表およびall pair法で設定した実験条件における主軸・刃物台間の加工径変化量と温度の時間変化の値をもとに,切削油を用いない条件において,各条件での加工精度が悪化する時刻における温度分布と熱変形を再現する解析条件を導出した.解析時の境界条件である対流と熱荷重の設定を適切に行い,解析結果から装置各部の熱変形を分析し,工作機械全体の熱変形挙動を可視化した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度については,実機での測定については,共同研究の企業の設備を利用できたことで,先行して進めることができた.しかし,実機でのデータ取得を優先して進めたため,CAEによる解析については遅れている状態であった.2021年度はCAEによる解析と実機での結果の比較を進めており,複数の試験条件下での温度分布と熱変形を再現可能な解析条件を導出できた. 2022年度は得られた実験結果と解析結果をもとに,より広範な条件での解析方法を検討するとともに,新たな機種への熱変形補正式の展開を実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,CAEにおけるall pair法の活用方法についても検討を進めるとともに,複数機種で提案手法の精度の検証および研究成果の整理と公開を行っていく.
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Causes of Carryover |
共同研究先の既存設備の活用により,空調設備等の購入を保留したことによる.次年度は,主に解析にかかわる計算機などの機材を追加購入していく.
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