2021 Fiscal Year Research-status Report
粉末床溶融結合におけるエネルギ吸収の高精度制御による最終製品製造技術の確立
Project/Area Number |
20K14634
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
山内 友貴 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部製品化技術グループ, 主任研究員 (20587133)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 付加製造 / 粉末床溶融結合 / レーザ焼結 / 層間接合 / 3Dプリンティング |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザ焼結には,ラティス構造のような軽くて強い複雑形状を加工できる次世代の製造技 術として期待される一方で,内部欠陥が多く部品強度に課題がある.従来は樹脂吸収性の高い中赤外レーザによるエネルギ供給に依存しており,それによって発生する深さ方向の大きな温度勾配が内部欠陥の発生要因となっている.温度勾配が大きいと,表層の樹脂は過度に加熱され熱分解し,粉体層深部ではエネルギ不足によって融点に達しない.本研究では樹脂材料に対して高い透過性を持つレーザに着目し,本システムによるレーザ焼結方法の確立を目指す. 昨年度は,吸収層に供給する材料の選定するため,原材料が同じで吸収の異なる2種類の粉末材料を混合し,吸収特性について調査した.さらに吸収特性と造形した部品強度の関係を明らかにした.これにより,エネルギ吸収を最適化することの効果について確認することができた. 今年度は,原材料が同じで吸収の異なる2種類の粉末材料を用い,粉末床溶融結合装置内で各層造形時に吸収層を深部に配置するための手法について検証した.さらに,吸収層が表面にある場合と深部にある状態で近赤外レーザを照射し,造形状態ならびに溶融状態について調査を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザの吸収層となる粉末材料を既に加工した層の上に供給し,さらにその上に透過層の粉末材料を供給することにより,層間接着が行われる深部に吸収層を配置した.これにより,造形時に最も溶融が必要な部分に熱を供給することが可能となった.さらにその状態で近赤外レーザを照射して,入力エネルギ量と溶融状態などの関係を評価した.さらに深部に吸収層を置いた状態で高い部品密度が得られる最適な入力エネルギ量の範囲を明らかとした.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に確立した吸収層の深部への配置と,その場合における最適な入力エネルギ量によって部品を造形し,強度等を評価することで本技術の優位性を確認する.特に本技術の影響が強く出ると予想される積層方向の強度について,従来手法と比較しながら重点的に評価する.
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Causes of Carryover |
今年度の実験については,一部機関内の物品で代用したこと,および予定していた論文投稿がずれ込んだため,次年度使用額が生じた.次年度は,今年度に代用していた物品について,本研究用に最適化した物品への購入に充てる予定である.
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