2020 Fiscal Year Research-status Report
均質化法に基づく高性能研磨パッドの創成を目的とした最適設計法の開発
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20K14636
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 悠暉 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (00845448)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 均質化法 / トポロジー最適化 / レベルセット法 / 研磨加工 / EHL解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,代表的な研磨加工法であるCMP(Chemical Mechanical Polishing)における研磨パッドを対象とした最適設計法の開発を研究目標としている.本年度は,CMPを対象とした数値解析のベースとなる均質化法に関する検討を行った. CMPを対象とした数値解析法であるEHL解析では,研磨効率と相関のある研磨圧力分布を得るために,流体解析と構造解析が行われる.そこでまずは,圧力場を対象とした均質化法について理論的検討を行い,最適化システムの開発を行った. 研磨パッドのように微細構造が平面状に配列された系に対して有効な,Periodic unfolding methodと呼ばれる均質化手法を導入した.この結果,系全体で成り立つ境界値問題を,微細構造の最小単位であるユニットセルの境界値問題と,マクロな系における境界値問題へと分離することができ,ユニットセル問題の解から算出される均質化係数を用いて,微細構造を含む圧力の作用する面を均質材として置換することができた. このような均質化法に対してトポロジー最適化法を導入し,マルチスケール最適設計法を構築した.これは,所望のマクロ特性を実現するために,ユニットセルにおけるミクロ構造を最適化する手法であり,前述のスケール分離によって計算コストを低減する特長を持つ.圧力波動場を対象に最適設計法を展開し,構築した方法論の妥当性を確認した.提案手法により,特異なマクロ特性を示す平面状に配列された微細構造の最適構造を得ることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研磨パッドのような表面構造に対して有効なPeriodic unfolding methodに基づく均質化法を構築し,トポロジー最適化法と組み合わせることができた.さらに,最適化システムの実装を進めることができ,圧力波動場に対して特異なマクロ特性を示す最適構造の創成に成功している.これらの成果については,国際学術雑誌に論文を複数投稿しており,うち1つは掲載可となっている. EHL解析への展開については文献調査などを順調にすすめることができたが,具体的な定式化には至っていないため,全体の進捗状況として「おおむね順調に進展している」と判断するに至った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,構築したマルチスケール最適設計法をEHL解析で扱われる流体構造連成問題に対応するように拡張し,さらに 3次元問題への展開を進める必要がある. 3次元問題への展開については既に検討を始めており,解析の精度を向上するための要素再分割プロセスを組み込んだ最適化システムの構築を行っている.また,計算時間を短縮するために,ユニットセル問題に対して並列処理の導入を現在進めている.並列処理の性能の確認や,迅速な最適化計算を行うために,大規模計算機を導入する予定である. また,EHL解析へ応用するためには,圧力場に対して有効な均質化法を圧力-変位場連成問題に対して有効な均質化法に拡張する必要がある.まずは,圧力場が満たすレイノルズ方程式と変位場が満たす弾性方程式によって表された系に対してPeriodic unfolding methodの導入を検討する.定式化に問題がある場合には,既に均質化法の適用例が多く報告されているストークス方程式を用いて圧力場を表現し,これを弾性方程式と連成する方法を考える.
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Causes of Carryover |
国内・国際学会がすべてオンライン開催となったため,旅費を使用していない. また,本年度は理論的検討に重きを置いたため,計算機の購入を次年度に行うことにした. このため,残額は主に最適化計算に必要な大型計算機の購入に利用する予定である.
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Research Products
(3 results)