2020 Fiscal Year Research-status Report
粉体フラックス中のアークプラズマ-メタル-スラグ挙動の統合電磁熱流体解析
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20K14650
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
古免 久弥 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 助教 (80847989)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サブマージアーク溶接 / 粒子法 / 可視化 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
アーク溶接の一種であるサブマージアーク溶接は熱効率が高く深い溶込みが得られ,橋梁や船舶等の建造に多用されている.近年この溶接プロセス用にデジタル溶接電源が開発され,電源波形制御による効率のよい溶接が期待されている.しかしながら,この溶接プロセスは熱源であるアークプラズマの近傍が粉体に覆われているために外部から溶接部を観察することは容易ではなく,溶接技能者は電源の設定パラメータが溶接現象に与える影響を知らないまま,最適な条件を探さなくてはならない.そこで本研究ではサブマージアーク溶接現象の実験観察を行うとともに,この溶接現象を一挙に解く統合数値演算モデルを確立し,電源の各設定パラメータが溶接現象に与える影響を定量的に明らかにすることを目的としている. 令和2年度ではこの統合数値演算モデルを確立するための初期段階として,実験観察と数値演算の双方からサブマージアーク溶接中の溶滴移行現象の可視化を試みた.実験観察では,まずは専用のジグと高速度ビデオカメラを用いた直接観察を実施できる実験環境を構築した.そしてラボスケールの低電流ではあるものの,サブマージアーク溶接中の溶滴移行現象の観察に成功した. また数値演算においては,サブマージアーク溶接特有の溶滴移行形態である壁面移行形態を,粒子法を用いてモデル化した.その結果,ワイヤ先端で形成した溶融金属がフラックスを模擬した壁面に衝突しながら一部が千切れ,液滴となって落下する一連の過程をシミュレートすることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験観察,数値演算ともに当初の予定通り進行しているためである.実験観察では決定された交付金額内で実験環境が整えられるよう,導入する設備を再検討した.この設備を用いることで,本年度の目標であったサブマージアーク溶接中のキャビティ内部のアーク現象および溶滴移行現象を直接観察によって確認した.また計算機については既存の機器を利用して数値演算を行い,予定していたサブマージアーク溶接特有の溶滴移行形態を再現可能な数値演算モデルの構築に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は当初の予定通り,数値演算においてはスラグと溶融金属の挙動を同時にシミュレートできる二流体モデルの開発を行う.またこのモデルが完成次第,高電流の溶接現象やタンデム溶接へと適用拡大する. 実験観察においては令和2年度で環境が整ったため,引き続き直接観察を実施する.令和3年度は母材の溶込みも確認しながら,溶接電源の設定パラメータがサブマージアーク溶接現象に及ぼす影響について調査する. これらにより,最終目標である統合数値演算モデルの確立に向けて準備を整えていく予定である.
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Causes of Carryover |
参加予定であった国内の学会がオンライン開催となり,旅費が不要となったためである.繰越分は消耗品である溶接材料の購入や,今年度の学会参加費として使用することを計画している.
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Research Products
(1 results)