2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of numerical method for interaction of flexible structures and bubbly flow
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20K14652
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
栗本 遼 神戸大学, 工学研究科, 助教 (90711903)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 気泡流 / 揺動物体 / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
水処理技術である膜分離活性汚泥法に使用される中空糸膜の洗浄手法として分散性気泡流を利用したものがあり,その洗浄の一因として気泡流の流動に伴う膜の揺動がある.ランニングコスト改善には,中空糸膜群内流れの詳細把握や気泡流の分散性と流動の観点からの膜揺動の促進が必要であり,これらの把握・検討には数値計算が有効である.そこで本研究では揺動膜群と分散性気泡流が作りだす流れを予測できる数値計算手法を開発する. 本研究では,(1)中空糸膜群と分散性気泡流における実験と(2)中空糸膜群と分散性気泡流の連成数値計算手法の開発である.2020年度は主として(1)について実施し,気泡流により中空糸膜群が揺動することを確認した.カラー撮影が可能な高速度ビデオカメラを用いて中空糸膜に取り付けた着色した印を撮影し,撮影画像に対して画像処理を施すことで膜の揺動を定量的に評価した.その結果,膜の揺動は気相流量の増加と共に大きくなるが,流量が大きくなるとその揺動は概ね一定となることが確認できた.また,膜の位置によって揺動が異なることが確認できた.さらに,模擬汚れを膜に取り付け,その汚れの除去速度について調べた.弛緩率を0(つまり膜が直線状に張っており,揺動しない状態)としたときと,弛緩率を0.1としたときでは,弛緩率を0.1としたときのほうが除去速度が大きいことが確認できた.弛緩率が異なることで,細かい気泡の増加や,大きい気泡が通過する位置が異なることが確認できている.つまり,膜の揺動が生じることで気泡流の構造が異なり,その結果汚れの除去速度に影響を及ぼしていると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は【研究実績の概要】に記載した(1)の実験に関する項目を主として進める計画であり,実験装置の計画・作成,気泡流による中空糸膜群の揺動の確認,揺動の定量的評価手法の確立が達成できている.(2)の数値計算手法の開発については,想定のように計算できていない部分があり,やや遅れている面が否めないが,主としては2021年度の対応事項であると考えている.よって,(2)おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は(1)については,既存の実験データ(膜の揺動,汚れ除去速度)の拡充と局所ボイド率分布と局所速度分布の取得である.実験データを拡充するためには,実験の試行を容易にする必要があるため,現在実験装置の改良を行っている.(2)については,2022年度の主たる目的と考えている.中空糸膜群,分散性気泡流,およびそれらの連成については当初予定した手法で問題無いと考えているが,現状中空糸膜群の計算が想定通りにできていないため,プログラムの見直しを進めている.計算が可能になり次第,膜の揺動・局所ボイド率分布・局所速度分布といった実験データとの比較を進めていく.また,日本混相流学会主催の混相流シンポジウムでの発表と研究結果を学術論文としてまとめることを計画している.
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Causes of Carryover |
主たる理由は,当初予定していた現在の実験装置より規模の大きい実験装置の構築を取りやめたことと,コロナウイルスの感染拡大の影響による国際・国内会議の延期もしくはオンライン開催のためである.規模の大きい実験装置の構築を取りやめた理由としては,簡素な実験装置で十分に対処可能であったため(規模を大きくしてしまうと内部の可視化が困難となり,揺動を定量的に評価できなくなる可能性が高い)である.しかしながら,実験データの拡充には現状の装置をデータ取得が容易な装置に改善する必要があるため,次年度使用額を使用する予定である.2021年度の当初使途計画では計算機環境の構築が主であり,2021年度の交付分については予定通りに使用する.
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