2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of flow control technique using transient aerodynamic force with a microdevice
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20K14653
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
関本 諭志 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50783817)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DBDプラズマアクチュエータ / 翼周り剥離制御 / 過渡過程現象 / 数値流体計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、流体制御マイクロデバイスであるDBD プラズマアクチュエータによる翼周り剥離流れ制御を対象とし、制御開始から準定常状態に至るまでの過渡過程現象に注目した研究である。流れが制御されていくプロセスを明らかにし、そして準定常的な流れの観察から導かれた現在の制御指針に加えて、過渡的な流れの変化を考慮した新たな制御手法の確立を目指している。当初予定では今年度は実験によるデータ取得を中心に実施する予定であったが、後述の通りコロナウイルス蔓延の影響で実験実施が不可能となったため、数値シミュレーションのみの実施にとどまった。数値シミュレーションは、翼周り流れ解析で使用実績のある高次精度ソルバーのLANS-3Dを用いて、大規模計算機においてLESシミュレーションを実施した。申請書記載の通り、実験で取得できる物理量には限りがあるのに対し、数値計算では全計算点で物理量の評価が可能であるため、本課題において過渡過程現象の理解の片輪と位置づけている。コロナウイルス蔓延前に非定常圧力計測を実施した実験条件に合わせた数値計算を実施し、計測結果との比較を行った。結果数値計算においても、「制御開始からの急激な空力上昇」及び「高空力状態を維持できず、その後急激な空力低下」という実験でも確認された流れの特徴を確認できた。急激な空力上昇は制御開始時に発生する二次元的な大規模渦と関係しており、この渦生成を如何に制御へ活用していくかを検討することが本課題で大きな鍵となる。一方で、側壁を持つ風洞実験と周期境界を仮定する数値計算の間では空力変化の様子に一部異なる部分があることから、剥離から付着、もしくは付着から剥離への過程で側壁が大きく影響している可能性を示唆しており、今後その点も踏まえた議論を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題開始と時を同じくして世界的にコロナウイルス蔓延が始まり、首都圏で緊急事態宣言が発令された。これに伴い、実験場所として想定していたJAXA宇宙科学研究所が断続的に閉鎖し、現地での実験ができなくなった。実験は低速風洞装置を使用するため、代替の施設を見つけることも難しく、実験実施が不可能となった。一方、数値計算においては問題なく実行することができ、前述の通り知見を得ることができた。しかしながら、本課題は実験・数値計算の両輪で進めていくものであり、実験計測が行えなかった現状を鑑み、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、2020年度交付申請書の実施計画で予定した内容のうち、実験要素項目である「非定常圧力計測による表面圧力時系列解析、及び異なるはく離状態をもたらす駆動パラメータの分離(以下A-1)」と「高速度カメラを用いたPIV計測によるせん断層空間分布時系列解析(以下A-2)」が実施できていない状態である。このため、実験要素項目の実施を今年度加速させる必要がある。当初は(A-1)と(A-2)を並行で実施する予定であったが、2020年度に実施した数値計算の結果から、当初 (A-2)で予定していた議論をある程度代替できたため、2021年度はまず(A-1)の実施に焦点を絞り実施することとする。また当初(A-2)については2020年度を事前準備期間とし、本格実施を2021年度と予定していたが、数値計算の結果などを利用し、事前準備期間をできる限り短くして本格実施へ移行することを検討する。 本報告書作成現在、昨年度と同じく緊急事態宣言が発令されているが、研究活動に対する制限が昨年度同時期に比べ緩和されていることから、今年度は問題なく実験場所(JAXA宇宙科学研究所)での実験が行えるものと考える。一方で、昨年度と同様実験場所の閉鎖が発生し実験遂行が不可能となった場合、昨年度の同じく数値計算中心での検討に移行する予定であり、それに備え既にある程度の計算資源を確保している。 最後に、現時点での進捗を鑑みて、当初予定では本課題は今年度までの補助事業期間としていたが、今年度終了時に一年間の期間延長を申請することを検討している。
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Causes of Carryover |
昨年度計上させていただいた品目のうち、高額なものは実験装置に関するものであったが、コロナウイルス蔓延の影響で実験場所が閉鎖されたため、具体的な検討や打ち合わせを進めることができず、使用計画を予定通り進めることができなかった。 本年度の使用計画の大筋は、コロナウイルス蔓延の影響で実施できなかった昨年度の計画を踏襲するものである。具体的な使用計画の内金額の大きいものとして2点を予定しており、1つ目は「非定常圧力センサ3個」の購入に物品費642千円を計上する。2つ目は高速度PIV撮影準備・検討用に高速度カメラのレンタル2日分448千円を計上する。残り10千円についてはPIV計測データ保存用メティアの購入用に計上する予定である。
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