2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ空間における流速測定手法の開発と微小気体流量計測の高度化への展開
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20K14657
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
竹川 尚希 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (20828157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 流体工学 / 境界層 / 回復温度 / 臨界ノズル / 空間分解能 / 熱電対 / 白金抵抗測温体 |
Outline of Annual Research Achievements |
流体計測では、計測機器の大きさがボトルネックとなる場合が存在する。例えば、小型熱線流速計では熱線の長さが数mm、小型ピトー管では管断面積が数mm×数mmであるため、計測可能な流速はmmオーダーでの平均的な流れ場となる。本研究の目的は、数百μmオーダーの小型温度計によって得られる回復温度から、流速分布を高空間解像度で計測する新たな手法について確立し、その手法を応用することで微小臨界ノズル内の流れ場を明らかにすることである。昨年度は提案手法による流速計測手法の妥当性を確認するため国家流速標準との比較実験を実施した。 今年度は提案手法を用いて、臨界ノズル内部の流速分布について計測を行った。具体的にはスロートの中心位置における流速、軸方向の流速、スロートより1 mm下流における半径方向の流速の3項目について検証した。使用した臨界ノズルのスロート径は13.4 mmである。結果として提案手法を用いて計測したスロートでの音速流は理論値と良好に一致した。さらに、スロート下流側で生じる超音速および衝撃波についても計測可能であることが明らかとなった。既存の安価な温度計により、低擾乱かつ高空間解像度な流速計測を幅広い流速レンジで実現できたことは特筆すべきものである。また、提案手法は物理モデルに基づいているため、校正に要する労力が少なく、一般の技術者が簡便に使えるという点においても社会的意義が大きいものと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、μmオーダーのプローブ型温度計によって得られる回復温度から臨界ノズル内部の流速分布を高空間解像度で計測することであり、今年度においてノズル内流速の計測実験を実施することができたため、当初予定していた計画通りの進捗状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
臨界ノズル内部における超音速および衝撃波の計測に関してその妥当性の検証は十分でない。次年度は三次元数値シミュレーションを行い、上記計測の妥当性を評価する。また、トラバース計測を行い、臨界ノズル内部の詳細な流速分布を実験的に把握し、ノズル形状に関する合理的な設計について提案を行う。
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