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2020 Fiscal Year Research-status Report

Multiscale Analysis of Thermoelectric Properties of Carbon Nanotubes

Research Project

Project/Area Number 20K14661
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

大西 正人  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (30782560)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsカーボンナノチューブ / 熱伝導率 / フォノン / カーボンナノピーポッド / ゾーンフォールディング
Outline of Annual Research Achievements

単層CNTにフラーレンを内包させると,CNTとフラーレン間の層間相互作用によりCNTに生じた周期ひずみにより,人工的な超格子構造が形成されることが分かっている.[Nat. Mater. 16, 892 (2017)] 本年度はCNT単体の熱輸送特性制御を目的に,単層CNTにフラーレンを内包させた場合のフォノン特性変化を詳細に解析した.
分子動力学を用いたspectral energy density(SED)解析によりフォノン分散を解析したところ,フラーレン内包により数10THz 程度までのフォノンの波動性制御が可能であることが明らかになった.従来提案されていたナノピラー等の構造では1 THz 程度までのフォノン制御しか出来なかったことから,フラーレン内包を利用することにより,大幅にフォノン波動性制御の可能性が広がると考えられる.
また,フォノン特性(群速度,緩和時間)を詳細に解析したところ,フラーレン内包により熱伝導率が約3割減少することが明らかになった.また一般的な欠陥構造の場合,短波長・高周波フォノンの熱伝導率が減少するが,フラーレン内包CNTの場合,ゾーン・フォールディング効果により長波長・低周波フォノンの熱伝導率が主に減少することが確認された.さらに一様ひずみとゾーン・フォールディンス効果が熱伝導率に及ぼす影響を比較したところ,ゾーン・フォールディング効果が熱伝導率低下の9割を占めていることから,フラーレン内包による熱伝導率減少はゾーン・フォールディングによる影響であることが確認された.
このことから,フラーレン内包CNTによるゾーン・フォールディグ効果を利用して,CNTの熱伝導率を抑制可能であること,フラーレン内包CNTはフォノン波動性を研究する上で理想的な材料であることが明らかになった.また,フラーレン内包によるゾーン・フォールディング効果はひずみに起因した効果であることから,ひずみ工学としても将来的に発展が期待される.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画からCNT単体の熱伝導特性制御を初年度の目標として掲げており,現在のところ順調に研究が進んでいる.

Strategy for Future Research Activity

本研究のでは,低次元複合材料における熱・電子輸送特性制御に対する新しい知識体系の確立を目的に (a) ひずみを利用したCNT単体の熱伝導率抑制(ひずみ熱工学),(b) 曲率を有する炭素層間相互作用が及ぼす熱・電子輸送特性への影響解明,(c) CNTネットワーク熱電特性解析手法の確立とCNT熱電シートの構造最適化を目指している.初年度は第一の目標であるCNT単体の熱伝導率抑制のための設計指針確立とそのメカニズム解明を行った.今後は計画通り残り2つの目標達成を目指す.
2021年度はCNT同士の接触部分における電子コンダクタンスの定式化に取り組む.既にグリーン関数法を用いた電子コンダクタンスの解析コードは開発しているため,その解析コードを修正してCNT同士の接触部分における電子コンダクタンスを計算する.

Causes of Carryover

本年度の予算が若干次年度に残っているが,これは年度末に残金の計算を誤ってしまったためで,本年度はほぼ計画通り利用した.次年度も計画通り予算を使用する予定である.

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Published: 2022-12-28  

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