2022 Fiscal Year Annual Research Report
Multiscale Analysis of Thermoelectric Properties of Carbon Nanotubes
Project/Area Number |
20K14661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 正人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (30782560)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 熱電変換 / フォノン / 分子動力学 / 原子グリーン関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小センサーの動力源として熱電変換技術の活用が期待される.カーボンナノチューブ(CNT)は熱伝導率が高く材料単体では熱電変換材料として活用が難しいが,ネットワークとして利用することで熱伝導率が低下し,高柔軟性の熱電材料として利用することが可能となる.そのためCNTネットワークを用いた熱電変換デバイスを実現するには,CNT単体の熱電変換特性向上,接触部における熱・電子輸送特性解析,ネットワーク構造が全体の熱電特性に及ぼす影響を明らかにすることが重要がある.本課題では特に,CNT単体の性能向上と接触部におけるフォノン輸送解析技術に関する理論的な研究を行なった.
まずフラーレンがCNTに内包された場合,CNTに約1nmの短い周期で半径方向ひずみが発生しフォノン分散が折り畳まれ,熱伝導率が減少することを明らかにした.このようなフォノン波動性の制御は一般に粒子性の制御よりも難しいが,フラーレン内包による周期ひずみにより,ほぼ全域(40-50 THz)において明確な折り畳み効果が得られることが明らかになった.さらにCNT間におけるフォノン輸送特性を明らかにするため,原子グリーン関数とS-matrix法を用いた手法を用い,フォノンモードごとの輸送特性を解析する手法を確立した.CNTやグラフェンなどの層間におけるフォノン輸送は未解明な部分が多く,例えばCNTの場合,単体とバンドルの熱伝導率の比が約10であるのに対し,グラフェンの場合,1層と多層では2-3程度である.そこで,本課題で開発した原子グリーン関数・S-matrix法を利用することで,CNT接触部がフォノン輸送に及ぼす影響解明が期待される.
本課題ではCNTネットワーク全体のうち,単体や接触部などの重要な部分で性能向上指針や解析手法を確立した.本課題で得られた成果はフォノン輸送に関わる分野全般で,今後の発展につながるものである.
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Research Products
(7 results)