2020 Fiscal Year Research-status Report
熱電変換および新奇熱伝導材料における構造最適化手法の開発
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20K14664
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
堀 琢磨 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50791513)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熱伝導率 / シリコン薄膜 / 熱電変換 / フォノン輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコン薄膜の熱電変換材料の変換効率の向上のためには,ナノ構造化により熱伝導率を低下させる必要がある.本研究では最適なナノ構造の探索方法の開発を行い,さらにその妥当性を検証した. 計算対象は,25個の格子からなる2次元構造とした.各格子はそれぞれ固体または空隙のどちらかであるとし,それによりナノ構造を表現した.ナノ構造における熱伝導率を支配する構造由来の平均自由行程(Lambda_bdy)を,フォノンレイトレーシング法を用いて求めた.この手法では,半導体における熱伝導の主要因であるフォノンの輸送をシミュレーションにより解析し,ナノ構造における透過確率を求める. 格子からなるナノ構造に対して,焼きなまし法を用いて構造を最適化した.この手法では,構造を徐々に変化させ,最適化対象であるLambda_bdyを各過程で求め,減少した場合に新構造を採用する.また局所最適解に陥らないように,Lambda_bdyが増大した場合も確率に依存して新構造を採用する.この手法により最適化を行った結果,5つの独立したシミュレーションが同一の解に収束することが分かった. さらに比較のため,25個の格子によって表現可能なすべてのナノ構造(2^25=33,554,432通り)の熱伝導率を力任せ探索によって求めた.この結果,力任せ法によって得られた最適化構造を,焼きなまし法は正確に予測した.以上より,シリコン薄膜の構造最適化において,力任せ探索法に比べて計算負荷がはるかに少ない焼きなまし法の有用性が確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
学会発表を複数件行ったほか,既に英文の学術論文も査読を受けている最中であり,研究は順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
応用のためには,より大きな系でのシミュレーションが欠かせないため,今後行っていく. そのために,最適化のための細かいパラメータの調整が必要となるため,並行して行っていく. そのほかに,ナノワイヤなど,シリコン薄膜以外の系で開発した手法を適用していく.
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Causes of Carryover |
2020年度は多くの学会が開催を取りやめ,あるいはオンラインでの開催となり,予定していた旅費の使用がなくなったため,次年度使用額が生じた. 2021年度は学会が非オンラインで開催する場合は旅費に,開催されない場合は研究に必要な物品の購入に充てる予定である.
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Research Products
(2 results)