2020 Fiscal Year Research-status Report
3D thermal/flow measurement for active control of internal flows in drops
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20K14667
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
喜多 由拓 九州大学, 工学研究院, 助教 (40840616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 液滴 / マランゴニ対流 / 流れ可視化 / マイクロ流体 / PIV / 赤外線サーモグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
液滴を用いた次世代マイクロ流体技術が注目されている.液滴はマイクロリアクタとしての役割を担うが,肝心の液滴内部攪拌・温度制御技術はまだ確立されていない.そこで本研究では,マイクロヒータやレーザーを用いた局所加熱による液滴内部対流の制御に必要な熱流動現象の学術的基盤を築くことを目指す.サーモグラフィや粒子画像流速計(PIV)を組み合わせ,温度場・速度場情報を同時取得することで,与えられた加熱量・温度が液滴内部対流の流速や温度上昇に及ぼす影響を明らかにする.最終的には加熱条件・液滴形状等のパラメータから計算される無次元数(レイリー数やマランゴニ数)で,対流強度や熱伝達特性を整理し,熱流動特性の支配パラメータを特定する.また,液滴形状(接触角や体積)が熱対流の安定性に及ぼす影響を調査する. 本年度は,事前実験として,赤外線サーモグラフィのみを用いて,液滴の接触角が熱流動現象におよぼす影響について調査した.その結果,接触角が小さい条件では対流が発生しにくいこと,接触角が大きくなるほど対流は複雑かつ不安定になることが定性的に分かってきた. また,本研究の軸となるサーモグラフィによる温度場とマイクロPIVによる速度場の同時計測を実現すべく,光学系の設計構築を行った.マイクロPIVを構築するために,自作の倒立顕微鏡を構成した.今後,蛍光粒子の選定を行い,流速計測可能なレベルまでノウハウを蓄積し,最終的にサーモグラフィと同期した計測を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行により実験を一時停止せざるを得なくなり,装置の設計構築に若干の遅れが出た.現在,流体計測に必要な光学系は大まかに完成しており,計測手法のノウハウを蓄積する段階にある.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では,感温粒子を用いて,PIVのみで速度と温度情報を同時取得する計画を立てていたが,新型コロナウイルス感染症流行の影響で,光学系の設計構築に遅れが出た.当初計画していた手法は膨大なノウハウを必要とするため,装置が完成したとしても研究機関内に有意なデータを得ることは困難と考えられる.そこで,温度分布計測には,これまでにノウハウを蓄積してきた赤外線サーモグラフィを補助的に用いることにする.PIVによる流れ場計測については予定通り進めていく.この研究手法変更により,得られる実験データの解像度は若干失われる可能性はあるが,スケーリング則などのアプローチで少なくともオーダーレベルでの議論は可能であると考えられる.この変更は当初の計画でも想定していたものであり,最終的な目的である熱流動現象の理解はおおむね達成し得ると考えている.
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Causes of Carryover |
当該年度中に,本研究で用いる光学系を製作するために部品費を計上していたが,新型コロナウイルス感染症流行により大幅に遅れが出たため,年度中に部品を発注するまでに至らなかった.また,学会・国際会議が軒並み中止となったため出張旅費の支出もなかった.これらが次年度使用額が生じた理由である.次年度は,装置の完成を目指すべく,部品や必要機器の購入ならびに,現段階で開催予定である学会・国際会議の参加費用等の支出を予定している.
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