2020 Fiscal Year Research-status Report
皮膚の層構造の違いがアトピー性皮膚炎の紫外線療法に与える影響の解明
Project/Area Number |
20K14670
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 貴裕 芝浦工業大学, 工学部, 助教 (30801790)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光線治療 / アトピー性皮膚炎 / 光物性 / 紫外線 / ふく射伝播 / 皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,層構造を有する皮膚の各層の光物性の測定を実現し,紫外線療法に用いられる波長範囲での,光物性のデータから皮膚内部での光の到達範囲を明らかにすることが目的である.これに際し,皮膚各層の光物性を非侵襲で測定可能とする原理の構築と,幾何学的な厚さを測定する光断層画像法の両方の測定から,より正確な物性と光の到達範囲を明らかにする. 本研究の実現へ向け,層構造を有する皮膚の光物性計測を可能とするための解析アルゴリズムの考案および装置開発を行うとともに,幾何学的な厚さの測定を可能とするための光断層画像法の原理を用いた試作機を構築した.これらの装置を用いて,実際の人の皮膚での測定の前段階として,光物性のデータや幾何学的な厚さが予め分かっている人工の層構造を有する皮膚ファントムを作製し,そのサンプルを用いることで,本計測で提案する手法(層構造の光物性計測)の実験的検証を行った. その結果,層構造の予め用意した光物性のデータと,非侵襲で層構造の光物性を計測する手法を用いた計測結果が10%程度の誤差を含む範囲で収まるという結果が得られた.非侵襲で層構造の光物性を測定できることを証明した研究成果は貴重なものであり,装置として試験段階であったことからも十分な結果が得られたと言える.この研究成果に関しては,第58回 日本伝熱シンポジウム(2021年5月)で発表した.今後は,ここで得られた課題解決を含め,実際の人の皮膚を測定する準備を進めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度のコロナ禍の影響で全体的な研究計画の若干の遅れもあり,本研究で利用を考えていた計測方法の実験的検証までは行えているが,計測装置がいまだ試作機状態であることと,実際に人を集めての実験へ向けた準備がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に大きな変更はない.計測原理の検証では十分な成果が得られたため,その原理に基づいた装置の完成を実施する.また,当該研究機関での倫理審査委員会を経て,実際に人を集めて実験(計測)を行っていく.
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Causes of Carryover |
2020年度のコロナ禍の影響で全体的な研究計画の若干の遅れもあり,本研究で利用を考えていた計測方法の実験的検証までは行えているが,計測装置がいまだ試作機状態であることとが主な理由である.今年度では,装置の完成のために使用する予定である.
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Research Products
(4 results)