2020 Fiscal Year Research-status Report
Droplet manipulation using interfacial tension and electrowetting
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20K14672
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 憲 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70749100)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エレクトロウェッティング / 界面張力 / 界面 / 液滴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、スマートフォン上に置くだけで生化学分析が自動で完了するポータブルマイクロTASシステムを開発することを最終的な目的としている。その具体的な手法として誘電体electrowettingおよび光電効果に着目し、液滴状の試料を (スマートフォンのディスプレイの光を変換した) 電気によって駆動する手法の開発に取り組んでいる。なお、この際に障害となるのが、electrowettingによる液滴の駆動には一般的に数十ボルト~百ボルト超の電圧が必要とされている点である。この課題の解決策として、本研究では液滴と電極の間に (基板最表面として) 挿入される誘電体を従来の固体から液体に変更し、固体と液滴の間で生じる摩擦を大幅に低減させる浮遊液滴electrowetting (FDEW) という手法を提案している。 本研究では、本手法において種々の生化学分析プロセスで想定される液滴操作が可能なことを示すために、(i) 電圧印加による液膜界面形状変化の計測、(ii) 液滴周囲の液膜における粘性抵抗の計測、(iii) 電圧印加による液滴の駆動と結合、の3点を実施し、FDEWによる新たな液滴操作手法を提案する、という計画を立てている。 この計画に対して、(i) については、誘電体液膜の動的特性や液滴に電圧を印加した場合における液滴および液膜の挙動を実験的に明らかにした。また、(ii) については、液滴移動に必要とされる駆動力を理論および実験の両面から10^0 nN程度であることを明らかにした。この駆動力は固体上の液滴に必要な駆動力と比較して2オーダーほど小さいことから、本研究の提案の概念的な有効性が示されたといえる。現在は、実施項目 (iii) のFDEWによる液滴の駆動およびその際の内部流動構造の解明に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2か年で大きく3つの項目の実施を計画していたが、初年度はこのうちの2つを実施し、本研究で提案するコンセプトを提示することができた。したがって、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、FDEWによる液滴の駆動およびその際の内部流動構造の解明に取り組む。液滴の内部流動構造の観察には、液滴に直径が1マイクロメートル程度の蛍光粒子を混入させ、非点収差粒子追跡法 (APTV) を用いた3次元流動追跡を計画している。また、誘電体液膜を最適に保つための基板形状や条件についても幅広く検討し、液滴駆動メカニズムの理解の深化とともに液滴のより少ないエネルギーでの駆動へとつなげる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を受けて参加予定だった学会が中止となったため、旅費として計上していた予算 (一部、オンライン学会の参加費を支払っている) の未消化分を次年度の実験装置の購入に使用する。
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