2021 Fiscal Year Research-status Report
Clarification on growth process of flow-induced gel and it's limitation
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20K14673
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
原 峻平 同志社大学, 理工学部, 助教 (20844088)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソフトマテリアル / 流動誘起ゲル / 相転移 / 開水路 |
Outline of Annual Research Achievements |
流動誘起ゲル相転移を利用した新技術・次世代の新規高機能性材料の開発等に向け,信頼性の高い流動誘起ゲルの理論の構築が必要とされる.本研究では,広い開水路の底面から浸出壁を介して界面活性剤溶液を浸み出すことで,開水路乱流中に流動誘起ゲルを作り出し,その時の空間的挙動を実験的に調査する.そして,流動と流動誘起ゲル構造に関する双方の解析を通じて,流動条件ごとの流動誘起ゲルの時空間構造を明らかにし,開水路乱流中で形成される流動誘起ゲルの成長過程と成長限界を解明することを目的とする. 本年度は,これまでに作成した大型開水路の改良を行いつつ,流動誘起ゲルの空間的挙動を調査した.開水路のせん断乱流に界面活性剤溶液を浸出させると,たとえ数十ppmのものであったとしても,流動誘起ゲルが壁面から壁面垂直方向に成長していく様子を捉えることに成功した.このとき,せん断乱流の溶液が水であった場合,規模は小さいものの流動誘起ゲルが形成されることがわかった.また,溶液の浸出開始付近であったとしても,流動誘起ゲルは10分ほどで壁から10cmオーダーの大きさに成長した.流動誘起ゲルはスパン方向に縞状の分布を持ち,流れ方向に一定の周期で揺らいでいる様子も確認された.流動誘起ゲルは固体的性質を有しているため流れをせき止める様子も確認されたが,触ると崩れる程度の強度であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,界面活性剤溶液流れをレーザー計測するにあたり,流れの中に泡が大量に発生してしまったため実験が難航した.この問題を解決するために,整流板の新規作成など開水路の改良及び脱気システムの購入を行っている.また,ゲル層の成長を捉えるために,相対位置を崩さずにレーザーとカメラを流れ方向にトラバース可能な機構を作成した.本格的な実験を行う前の流動誘起ゲルの観測をメインに計画が遂行された.その結果,流動誘起ゲルの成長過程の定性的な傾向を掴むことに成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,高速度カメラとレーザを利用して粒子画像流速計測とレーザ誘起蛍光法を行い,速度場・濃度場を吟味することで流動と流動誘起ゲルの相互干渉について調査する予定である. とりわけ,各界面活性剤濃度条件ごとの,ゲル層平均厚み,乱流場の変化,流動誘起ゲルの空間的広がりやスパン方向の空間周期構造に着目する予定である.
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Causes of Carryover |
開水路の作成には別予算から支出を行ったのに加え,業者が低コストの脱気システムを新たに提案してもらったため.繰越分は次年度の学会旅費と引き続き開水路の改良費用に当てる予定である.
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