2023 Fiscal Year Research-status Report
減圧環境下における衝突液滴の局所除熱特性および液滴内部の沸騰気泡解析
Project/Area Number |
20K14676
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
畠中 龍太 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (80725333)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 薄膜熱電対 / 液滴衝突 / 全反射法 / TIR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、減圧環境下において、雰囲気ガスの相対湿度の調整を行った上で加熱面に単一液滴を衝突させ、固体表面温度の高時間/空間分解能計測と全反射法(TIR)による固液接触部計測の2つを同時実施することで気泡成長と壁面熱流束を評価すること、およびそれを用いて液滴の加熱面衝突現象における減圧環境の影響を解明することである。減圧環境下で単一液滴を安定して滴下すること、TIRと温度計測を両立すること、液滴挙動に影響を及ぼさないように加熱表面を清浄に保つこと(あるいは清掃をしやすいこと)がデータ取得の観点で非常に重要である。 FY2023は、実験の成功率を上げるために真空デシケータ内の温度制御系や液滴生成器、光学系、データ収集系の改良を進めることで、実験をよりスムーズに実施できるようになった。薄膜熱電対アレイは、校正試験のやり方を検討した上で設計変更を行い、周辺治具の設計検討を進めたが、ハードウェアの試作や評価までは実施できなかった。 また、これまでに得られた実験データの解釈(特に濡れ広がる液滴内部の成長気泡の底部におけるミクロ液膜の有無)に関し、文献調査・検討・議論を進め、観測されている気泡成長速度を再現できるような物理モデルの検討を進めている。 FY2023は、約2か月の育児休業/関連休暇を取得したことに加え、他の期間も他業務で非常に多忙だったため、十分な時間を割けず、予定通りの進捗を得られなかった。そのため、補助事業期間延長申請を行い、FY2024も研究を継続することとした。FY2024は、改良版温度センサアレイの試作評価を行った上で、液滴実験におけるデータ収集、論文執筆を進めることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
FY2023は育児休業取得および他期間における他業務多忙のため十分な時間を割くことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では非常に高度且つ新規性の高い実験技術に挑戦しており、また研究対象である液滴現象も極めて複雑であるため、各要素を切り出して段階的に成果発表を積み上げていきたい。 提案者が博士課程学生として在籍した東京農工大学(単位取得退学済/未修了)の田川教授、過去に1年間在籍したDarmstadt工科大学(ドイツ)のTropea教授・Roisman教授との連携を積極的に行って、液滴現象や伝熱モデル化に関して理論的な考察を進めていきたい。 FY2024は、実験データの完成度を上げることに拘りすぎず、研究成果のまとめに移行することを心掛けたい。
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Causes of Carryover |
育児休業および他業務多忙のため本研究に十分な時間を割くことができなかったため。FY2023に実施予定だった相対湿度計測/制御、光学系部品(レンズ等)の選定/購入、温度センサアレイの購入、国際学会発表はFY2024に実施する予定である。
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