2020 Fiscal Year Research-status Report
高電力密度を実現するMHz級低背トランスの限界設計理論の体系化
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20K14708
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
折川 幸司 北海道大学, 情報科学研究院, 助教 (50781324)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低背トランス / プレーナトランス / 高電力密度 / 漏れインダクタンス / 非対称化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は低背化が要求されるMHz級スイッチング電力変換器に使用される低背トランスを研究対象とし,高電力密度低背トランスの限界設計理論を体系化することを研究目的とする。低損失密度を実現する巻線構造の設計手法,低損失密度を実現する磁性材料の選定方法およびその構造設計を統合することで,周辺部品に比べて比較的設計自由度の高い低背トランスを限界設計することができる。 令和2年度においては,プリント基板を用いた巻線の一次側にまずは従来の螺旋構造,二次側に1ターンの巻線を採用して,一次巻線と二次巻線の配置による電流分布の違いを電磁界解析により検証した。その結果,一次巻線と二次巻線を分離する構造よりも巻線の発熱を分散可能な一次巻線と二次巻線を交互に配置するインターリーブ巻線構造を採用することにし,インターリーブ巻線構造の2 MHz駆動の低背トランスを試作した。試作した低背トランスを用いて無負荷試験および負荷試験を行った結果,コアの発熱が大きく所望の出力電力で連続運転を実現するためには巻線損失をより低減し,巻線からコアに伝わる熱を抑制する必要があることが明らかになった。また,共振に必要な所望の漏れインダクタンスの設計について,検討の簡単化のためにトロイダルコアを用いて電磁界解析および実機検証を行った。その結果,一次巻線と二次巻線の位置関係およびその距離を変えることで漏れインダクタンスの非対称化と調整が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
負荷試験時のコアの発熱は巻線からの発熱がコアに伝わっていることが明らかになったため,大電流が流れる二次巻線の損失低減のために二次巻線の銅パターンの分割を検討した。しかし,二次巻線の銅パターンを分割しても,一次巻線との近接効果が原因で目立った効果が見られなかった。そのため,巻線構造の設計にやや遅れが生じている。したがって当初の研究計画とは異なり,引き続き巻線構造の改善に取り組む。しかしながら,令和2年度後半からは基礎的な実験データは得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の令和3年度の計画では,磁性材料の低損失密度を実現する磁性材料構造の検討と実機検証を予定していた。前年度において,巻線損失の低減,巻線からコアへの熱移動をより抑制する必要があることが明らかになったため,磁性材料構造の検討にその知見を反映させる。そして,巻線と磁性材料の熱抵抗(放熱のしやすさ)の違いの観点から,巻線損失密度と磁性材料損失密度の双方を考慮した2MHz低背トランスの設計,実機検証を行う。
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Research Products
(1 results)