2020 Fiscal Year Research-status Report
The realization of the high efficient wave power generation using high thrust density linear motor based on the regenerative power maximization
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20K14717
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小山 昌人 三重大学, 工学研究科, 助教 (50804473)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スパイラルモータ / 波力発電 / 2入力2出力系最適制御 / 外力推定 / 省電力磁気浮上系 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はコロナ禍であったため,スパイラルモータ新試作機の製作作業ではなく,本モータの波力発電および,運動制御系設計に関する検討を主として実施した.本年度の成果としては1.本モータを用いた仮想機械アドミタンス制御による発電システムの仮想粘性係数の最適化問題導出および,これへの共振周波数マッチング導入による回生効率変化の数値解析,2.本モータの力制御系の更なる性能向上のための最適制御理論に基づく位置・浮上制御系を基とする仮想アドミタンス制御の検証,3.本モータ外力推定精度向上のための併進・回転方向位置検出値を用いた外力推定手法の提案および実証,である. 1.ではモータ運動・回路方程式および,制御則の連立方程式から回生電力時間応答式を導出し,仮想粘性係数についての導関数を得ることで最適化問題導出を行い,実機条件と近づけた駆動回路・モータの数値シミュレーションによってこれの妥当性を検証した.その結果,効率値は理論計算と駆動回路考慮の数値解析間ではスイッチング損などによると思われる誤差が生じたものの,効率最大となる仮想粘性値については駆動回路考慮時のおおよそ40%程度の範囲で算出でき,大まかではあるが設計法を明らかとした.2.では最適制御理論で設計した位置・省電力磁気浮上系に機械アドミタンス制御を適用した場合での制御性能を検証し,従来の加速度制御ベース力制御よりもオーバーシュートを抑圧でき整定時間の向上が可能となった.3.では従来課題となっていた磁気吸引力による外力推定値誤差について,マルチエンコーダDOBを基に併進・回転方向エンコーダの相補感度関数を考慮した設計をすることにより従来法よりもRMSEが小さくかつ,計算コストも同等な推定手法を提案した.以上の成果を,2件の学術誌論文(査読付),2件の国際会議論文(査読付),1件の国内会議論文(査読なし)で発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題では1.駆動装置を含めたスパイラルモータ回生特性および,最大化条件を明らかとすること,2.回生最大化制御と省電力磁気浮上制御を同時実現する制御系の開発,3.最新試作機の製作による実証,を目的とするものである.初年度である2020年度は当初予定の実機製作がコロナ禍により実作業を行えなかったため,理論検討を中心に行ったが,その結果,目的1,2に関する2年目などで併行して行う予定であった回生電力最適化のためのパラメータ設計において駆動回路を考慮した数値シミュレーションから導出した最適化問題の妥当性を検証でき,おおむね順調な進捗が見られた.また,実機については巻線製作の検討や,GaNを用いた駆動用インバータ候補が見つかったため駆動回路の再選定などを行った.これらと併行して,本モータの波力発電制御の基礎としている力制御系や外力推定法の改善にも取り組み,力制御系については位置・省電力磁気浮上最適制御系に基づく機械アドミタンス制御によって,外力推定については併進・回転方向位置検出値の相補感度関数調整によって,性能改善を実現した. 以上より,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では過去の試作機製作過程を踏襲した製作を前提とし,固定子巻線製作・可動子永久磁石貼り付け・接着剤によるモータ組付け・エンコーダ組み立て・固定具取り付けといった手順で製作を行う.また,駆動回路についてはGaN使用の市販品の導入を検討し,従来試作機の駆動回路(IGBT, 12~15kHz駆動)よりも高効率かつ,高速スイッチングによる高性能化が可能か検証する.また,2020年度における成果として波力発電制御の最適パラメータ設計が可能となった一方で,最大回生効率を実現するには波周波数に応じて仮想機械特性における共振周波数マッチングの有無を切り替える必要があるとわかった.そのため,今後はこれの連続的な制御切り替え手法について検討を行う.共振周波数の有無ではシステム構造が異なるため,これを前提としたアンチワインドアップ制御やBumpless transfer schemeなどを検討し,連続的な波の変化に対応可能とする.また,最適制御理論に基づく力制御系設計などにも継続的に取り組み,基礎的な制御性能の向上にも取り組む.
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Causes of Carryover |
実機製作がコロナ禍のために進行できず,回生最大化のための最適化問題導出や運動制御系の最適化といった理論検討に注力したため,2020年度ではこれら成果のジャーナル論文掲載料のみに使用した.これにより今回では次年度使用額が生じた.このため,2021年度では実機製作のための巻線や駆動回路など当初計画に挙げたものの購入および,2021年度の国際会議参加費またはジャーナル論文掲載料に使用する予定である.
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