2021 Fiscal Year Research-status Report
The realization of the high efficient wave power generation using high thrust density linear motor based on the regenerative power maximization
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20K14717
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小山 昌人 三重大学, 工学研究科, 助教 (50804473)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スパイラルモータ / 波力発電 / 2入力2出力系最適制御 / 最大電力点追従制御 / 省電力磁気浮上系 / 最適力制御系 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度では主として,1.スパイラルモータ新試作機の固定子巻線製作,ならびに2.本モータの波力発電回生効率最大化制御,3.運動制御系の向上を実施した. 1.新試作機の巻線については,巻線径の細さ,固定子コアの薄さから製作難度が高く,これまで11巻を事実上の限界値と見込んでいたがより大きな電磁力・誘導起電力発生のため,3DCAD上で巻線の配置検討をし,14巻が可能な配置を考案した.ただし,固定子がらせん形状であるために巻線機が使えず手動であるため,作業の簡易化を目的として治具製作を行った.その結果,実際の巻き数として12巻へ増加させることに成功したが,製作途中で巻線の被覆等が剥がれ短絡したため,現在再度巻き直しと治具改良,短絡対策を行っている.加えて,制御用インバータについて定格電圧の兼ね合いからSiCインバータを購入,これによる実験準備を進めている. 2.回生効率最大化制御において初年度において波力周波数毎の機械アドミタンス制御設計を明らかとしたが,周波数変化時の制御器変更では効率低下が発生していたと分かった.そこで,本年度ではこれの原因を調査し,変更時にインピーダンスモデル計算にオフセットが生じるためと明らかにした.このため,モデル計算方法を修正,オフセットを解消し,定常状態における効率低下を解決した. 3.本モータの力制御性能向上のため,初年度に検討した最適位置・省電力磁気浮上制御系の上位として最適力制御系を新たに設計,数値解析において同等性能の力制御性能を持たせたうえで従来・提案手法を比較した結果,浮上制御性能向上とモータパラメータ変動に対するロバスト性向上を確認できた. 主に3の結果について1件の査読付き国際会議論文,1件の査読なし国内会議論文において発表している.1,2の成果については今後発表を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題の目的は1.駆動装置を含めたスパイラルモータ回生特性および,最大化条件を明らかとすること,2.回生最大化制御と省電力磁気浮上制御を同時実現する制御系の開発,3.最新試作機の製作による実証,を目的とするものである.令和3年度では初年度と同様にコロナ禍のために実験・実機製作が困難な状況が多々あったが,目的1,2に関する検討は初年度に製作したシミュレータ等により行うことができ,その結果,初年度に問題であった周波数変化時の制御器変更での回生効率低下について解消することが出来たほか,制御系の最適力制御設計による性能向上を行うことが出来た.また,目的3については新型コロナ感染対策を図ったうえで試作機の固定子巻線製作ならびに治具製作を本学実験実習工場等で行うことができ,巻数向上のための配置検討によって従来:11巻から,理想:14巻,実際には12巻へ増加可能と確かめられた.加えて,駆動用SiCインバータを購入でき,現在,試作機試験のための準備を進めている. 以上より,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度では目的3の新試作機について巻線被覆の剥がれにより再製作が必要であるため,これの対策を講じたうえで可及的速やかに製作,その他部品の組み立て作業を行うほか,巻線製作が完了した段階で巻線抵抗等から電源選定,購入したSiCインバータでの試験を段階的に行う.試験は巻線電流制御から浮上,発電制御の適用を目指して実施する.加えて,予算状況に応じて固定子構造について性能保持しつつ,固定子巻線の製作難度を低下させるための新たな構造を検討し,これの製作も行う.また,目的1,2に関して,波力周波数変化時の定常状態における発電制御の効率低下解消は出来たものの,切替時には瞬間的に効率低下が発生する.そのため,周波数変更に伴うインピーダンスモデル変更に際して滑らかに機械インピーダンス制御出力を切替えることで改善可能か,あるいは非線形制御等によって滑らかに周波数変更に対応可能な制御が可能かを検討する.また,最適力制御については性能向上が認められたものの,状態フィードバックであるためにセンサ誤差,雑音に弱い.そのため,線形二次ガウシアン等によって実センサの雑音を考慮した手法に改善を行う.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために学会等での出張が無かったことに加えて,新試作機製作において巻線の被膜剥離による巻き直しが発生したため,巻線抵抗を考慮した電源選定が行えずに購入できていないことが主な要因である.令和4年度では巻線製作を完了し,電源の購入および,製作のための消耗品,負荷用機器の購入を行う.これらの使用状況によっては性能を保持しつつ,固定子巻線の製作難度を低下させるための新たな固定子設計を行い,これを製作する.
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