2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K14726
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| Research Institution | Meijo University |
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Principal Investigator |
村上 祐一 名城大学, 理工学部, 助教 (80806498)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 冷凍殺菌 / 電界殺菌 / 電流波形 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
冷凍保存技術の普及により食品の長期保存が可能となっている。これは，低温環境下(－10 ℃程度)では多くの微生物の増殖が停止するからである。この冷凍時に，微生物の生菌数が減少することから，冷凍殺菌の研究が進められてきた。しかし，冷凍殺菌の殺菌効果は”滅菌(生菌率10^-6以下まで減少させる)”レベルの安全性を確保できていない。そこで本研究では，冷凍時に電界を印加する殺菌方法を提案し，冷凍時に滅菌レベルの殺菌効果を目指す。これにより食品保存期間の延長や食への安全が期待される。
本研究期間では，電界印加による凍結させた液体試料中の大腸菌殺菌に及ぼす印加電界条件および冷凍条件の影響を検討し，冷凍電界殺菌法における高殺菌効率条件を模索する。R2年度(初年度)では，凍結したNaCl水溶液中の大腸菌殺菌に及ぼす印加電圧波形および電流波形の影響について調査した。その結果，直流電界印加時には大腸菌殺菌効果が確認されたが，交流電界およびパルス電界印加では殺菌効果を確認することができなかった。直流電界印加時では，大腸菌は印加電界が大きいほど殺菌された。また，大腸菌は直流電界印加時間が長いほど殺菌されたが，1分以上電界印加した場合の大腸菌殺菌効果は同程度であった。これらの結果から，直流電界印加時に氷に流れる「吸収電流および瞬時充電電流」が，凍結したNaCl水溶液中の大腸菌殺菌の支配的要因であることが示唆された。また，グリセリンをNaCl水溶液に加えることで，凍結時に生じる凍結障害と電界殺菌の関係を検討した。その結果，直流電界印加による凍結物中の大腸菌殺菌は，凍結障害の度合いに依存しないことが示された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R2年度(本年度)では，凍結したNaCl水溶液中の大腸菌殺菌に及ぼす印加電圧波形および印加時間の影響について調査した。しかし，当初予定していた「パルス幅の影響」，「電気泳動法を用いた大腸菌中の核酸およびタンパク質の漏出の確認」の研究を実施することができなかった。この原因は，コロナ禍による大学の入構制限のため実験時間が確保ができなかったためである。R3年度(次年度)では，本研究テーマに取り組む学生を増やすことにより，遅れ挽回およびR3年度の研究を計画通り遂行する予定である。
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| Strategy for Future Research Activity |
R3年度では，過冷却，冷凍温度および冷凍速度が冷凍電界殺菌に及ぼす影響を検討し，殺菌機構の解明を行う。本研究室は－20℃および－80℃の冷凍庫を保有している。これらの冷凍庫を用いて冷凍温度や冷凍速度を調整し，研究を遂行する。また，冷凍する液体試料体積や液体成分を調整することで，過冷却が冷凍電界殺菌に及ぼす影響を検討する。本研究に対する人員を増やすことで，R2年度に実施できなかった実験を行い，研究の遅れを挽回する。R3年度も研究室内が三密にならないように十分注意し，これらの研究を遂行する。
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| Causes of Carryover |
コロナ禍のため予定していた国際会議に参加できなかったこと，大学の入構制限により計画していた以上に研究が進まなかったことにより，次年度使用額が生じた。この使用額は，R3年度の研究成果発表のための旅費および実験消耗品の購入のために使用する予定である。
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