2021 Fiscal Year Research-status Report
交流インピーダンス法による使用履歴不明なLiイオン電池向け劣化診断技術の開発
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20K14729
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Research Institution | Japan Automobile Research Institute |
Principal Investigator |
安藤 慧佑 一般財団法人日本自動車研究所, 環境研究部, 研究員 (80866161)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 蓄電池 / インピーダンス測定 / 劣化診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境問題に対する意識の高まりから,リチウムイオン電池(LIB)を搭載した電気自動車(EV)の普及が進められているが,課題の一つとして車載LIBの劣化による航続距離の低下が挙げられる.車載用LIBはその使用環境・方法が様々であることから,中古車両の残存性能評価には,車載用LIBの性能低下(容量減少・出力低下)を個々に診断する必要がある.本研究では,LIBにおける高精度で実用的な劣化診断技術を開発するために,LIBの劣化による容量減少とインピーダンス変化の関係を解明することを目的にした. 今年度は,LIBの代表的な正極であるLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM)のインピーダンス特性の解明に注力し,特にサイクル劣化したNCMのインピーダンス特性の取得と解析に取り組んだ.具体的には,まず正極にNCM,負極にLi4Ti5O12の構成で作製したラミネートセルを25℃または45℃の環境下で充放電サイクル試験を行い,100サイクル,200サイクル,300サイクルしたNCM電極を準備した.そのNCM電極を作用極に,Li金属を対極にしたコイン型ハーフセルを再組立し,充電状態(SOC)10%毎の交流インピーダンス測定を行った.サイクル試験後のNCMは~10%の容量低下と,インピーダンスの増加がそれぞれ確認されたが,規格化されたインピーダンスのSOC依存性は,サイクル試験前後でほぼ変わらないことが確認された.また,未劣化の電極同士を組み合わせたフルセルおよび,正極と負極のSOCを故意に10%,20%ずらしたフルセルに対してインピーダンス測定・解析を行い,LIBの正極/負極SOCズレとインピーダンス変化の関係を評価したところ,故意にSOCをずらした分だけ,フルセルのインピーダンスもずれることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19による緊急事態宣言等により,計画していた実験を十分に進めることができず,初年度の残課題を2年度目に持ち越したが,計画の見直しと優先課題への注力により,遅れをおおむね挽回できた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度確認された,NCMの規格化されたインピーダンスのSOC依存性がサイクル試験前後で変化しないメカニズムを解明するために,粒径違いもしくは粒子造粒状態違いのNCMのインピーダンス測定と解析を行う. またそれと並行して,正極と負極の充電状態(SOC)を故意にずらしたフルセルに対するインピーダンスデータの拡充や,インピーダンススペクトルがより明瞭になりやすい低温環境でのインピーダンス測定・解析を行う.
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Causes of Carryover |
昨年度から引き続きCOVID-19によるまん延防止等重点措置等により,学会などがWEB開催となり,計画してた旅費等の支出がなかったため残額が生じた.次年度は,残額はインピーダンス測定環境の構築・改善するのに充て,より効率的に実験が進められるように活用する.
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