2020 Fiscal Year Research-status Report
電波散乱壁を用いた次世代高速無線通信の室内伝搬環境制御技術に関する研究
Project/Area Number |
20K14744
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
村上 靖宜 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁環境研究室, 研究員 (70849041)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電波散乱 / アレーアンテナ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,超高速・超大容量通信の実現を目指して300 GHz帯を用いた無線通信の研究が行われており,電波の効率的利用のため室内において,特定領域外への放射を抑制するという需要がある. 本研究では,電波を制御する電波散乱壁を部屋の天井や壁に配置し,室内で対象とする空間の電波伝搬環境を制御し,室内無線通信品質の改善等を目指す. 本年度は,通常の金属平板に比べて入射した電波を広角に散乱させる電波散乱壁の設計と実験による性能評価を行った. 設計と実験は,300 GHz帯における試作より容易である30 GHz帯で行った.設計する電波散乱壁は,表面での反射位相が異なる2つの高さが異なる金属平板を組み合わせて構成される.その2つの平板の組み合わせ順で電波散乱壁の散乱パターンが決まり,最も広角な散乱パターンを実現する最適な組み合わせを,アレーアンテナ理論と遺伝的アルゴリズム(GA)を利用し導出する方法を確立した.確立した導出方法は2つの平板の組み合わせを総当たりで解析する試行回数に比べ,90%以上試行回数を減らすことができた.設計した電波散乱壁を試作し,実験の結果,確立した導出方法で求めた散乱パターンと計測で得られた散乱パターンを良く一致し,通常の金属平板より広角な散乱パターンを実現できることを確認した.また,2つの平板を表面での反射位相が0°を実現できるメタマテリアルで構成した場合の解析と設計を行った.メタマテリアルを用いた場合でも,金属平板のみで構成する電波散乱壁と同様で,広角な散乱パターンを実現できることを解析で明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該計画に従い順調に研究が遂行されているため.
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Strategy for Future Research Activity |
30 GHz帯での設計・実験に着手しており,それが完了次第,電波散乱壁の設計法を用いて300 GHz帯の設計で行い,試作・実験を行う予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は、コロナウィルスの影響で旅費として使用予定であった予算を使用できなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画では,300 GHz帯の実験装置(アンテナ等)の購入およびシミュレーションソフトの購入を計画している。
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Research Products
(5 results)