2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K14746
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
小畑 輝 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部多摩テクノプラザ電子・機械グループ, 副主任研究員 (50781027)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 反射抑制 / 周波数選択表面 / アンテナ / スロット / 電磁界解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,金属パッチ配列型の電波吸収体を用い,地板にスロットを設け,反射抑制特性を持ちつつアンテナとして入射電波の一部を取り出せる構造の開発を目的とする.円形の金属パッチおよび矩形スロットを基本の形状とし,形状パラメータと特性の関係を明らかにした上で形状の最適化および試作評価を行った. 3次元電磁界シミュレータMW-studioを用い,導波路を含まない構造に平面波を照射した時の反射波および透過波を解析した.その結果,地板に矩形スロットを配列した場合でも反射抑制特性を維持し,スロットから入射波の一部を透過させられることが分かった.また,円形パッチに対するスロットの配置位置は透過特性に影響を与え,円形パッチ端付近に配置することが適切であることを確認した.ただし,スロットの配置により共振長が変化し,スロットのない構造の特性に対して変化が伴う.この特性変化の影響は他形状パラメータにより補正ができ,周波数特性は円形パッチ径によって,反射抑制特性は配列周期によって元形状と同等の特性を実現可能であることを明らかにした.さらに,この本形状における,円形パッチ径,スロット長,スロット幅,配列周期,円形パッチに対するスロット位置を変化させた時の周波数特性・反射特性・透過特性変化の依存性を明らかにした.また,導波路として方形導波管(WR-159相当)を採用し,スロット導波管アンテナを含む構造についても同様に解析を行い,入射電波の一部が導波管端部に到達させることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定した本年度の研究計画は①電波抑制特性を持ちつつアンテナとして機能する構造を決定し,形状による特性変化の影響を明らかにすること,②決定した形状の特性測定である.①については電磁界シミュレータによりその影響を明らかにした.適切に形状を決定することにより,任意の周波数において,金属パッチ配列型の電波吸収体と同様の反射特性を持つアンテナとして機能させられることがわかった.②については,導波路を含まない構造を試作し,解析結果と同様の特性を示すことを確認したが,導波路を含む構造では実証に至っていない.年度当初に小型化を意図し,比誘電率10以上の高誘電率材の使用を想定し検討を進めたが,材料定数誤差に対して大きな特性の変化が生じたため,材料の再検討および試作品の再設計を行ったことが進捗の遅れている理由である.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に設計を行った試作品の作成と特性測定を行うとともに,2021年度の研究実施計画に沿って研究を進める。まず導波路を含まない試作品を作成・評価し,材料定数誤差,機械的誤差の影響が反射・透過特性にどの程度生じるかを明確にする.その後導波路を含む試作品の評価を行い,解析結果に差が生じた場合はその原因について解明を行う.基本の形状を実証した後,2021年度予定したアンテナ部のアレー化について検討を行う.特に,アレー化により動作周波数(波長)から最適な配列周期が決定される中,所望の特性を得るためにどのような設計手順が必要かを明らかにする.さらに,導波路としてより効率的な構造の検討を行う.また,これまでの成果をまとめ,学会等での研究発表や学会誌への論文投稿を積極的に行う予定である.
|
Causes of Carryover |
試作物の一部加工を自前で行ったこと,また,導波管作成を依頼する企業の再選定を行ったことで,予定より安価に試作品を作成することができたためである.次年度使用額分については,当初購入を予定していた設備備品の購入に使用する.
|