2020 Fiscal Year Research-status Report
Discretization of an Improper System with a Descriptor System and its Application to Control System Design
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20K14759
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河合 新 筑波大学, システム情報系, 助教 (40803549)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離散時間化 / デスクリプタシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,デスクリプタシステムによって非プロパーな逆システムを適切に扱い,申請者がこれまでに行ってきた連続時間と離散時間の違いを意識したシステムの離散時間化の成果によって,逆システムを実装可能とすることである.これに対して,2020年度は逆システムをディジタル機器で実装するための理論的な研究として,下記2つの研究に取り組みそれぞれについて実績を得た. 1) 逆システムなどの非プロパーな系について,その離散時間化を適切に扱うための理論的な研究を行った.具体的には,非プロパーな系に現れる超関数について,その離散時間化の定義を提案し,またその定義に基づく種々の性質を明らかにした.また,制御理論においてテスト信号の1つであるインパルス信号として知られているデルタ関数を例に取り,種々の定義や定理の合致からその妥当性を検証した.これにより,デスクリプタシステムで逆システムなどの非プロパーな系を表現し,それを離散時間化するための理論的な枠組みの構築を行った. 2) 非プロパーな系を含む制御系において,その制御系の制御対象や制御器の次数変化による性質の変化について研究した.制御系が含む非プロパーな系として,2020年度は逆システムでなく部分的モデルマッチング制御を行う微分器を含む制御系を対象に解析を行った.その結果として,制御対象や制御器の次数変化に伴うシステムの安定性やモードの変化を明らかにした.これにより,非プロパーな系を制御系に含むシステムを適切に扱うために考慮が必要となる性質に対して理解を深めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は逆システムをディジタル機器で実装するための理論的な研究として,1) 非プロパーなシステムの離散時間化を適切に扱うための定義の提案やその性質の解明と2) 非プロパーな系を含む制御系と制御対象や制御器の次数変化に関する安定性やモード変化の解析,の2点を行った.また,1)の成果は1件の国際雑誌論文,2)の成果は2件の国際会議論文として発表した.これらの成果によって,逆システムを適切に扱い制御系へ応用するために必要な理論の構築が進んだ. 一方で,2020年度は非プロパーな系一般,あるいは,微分器を含む制御系を扱い,逆システムを対象とした応用はこれからの実施となるため,おおむね順調とした.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は当初に立てていた2年目の計画に沿って研究を実施する.具体的には非プロパーな系を含む制御系の実機への実装を試みる.また,実機への実装が実現できた後はその性能を検証する. ただし,新型コロナウイルスの感染拡大防止のために,研究室における実機実験が困難となることが可能性がある.その際は,2020年度に続き,非プロパーな系の離散時間化やそれらを制御系に組み込むための解析や検証といった理論的な研究に注力する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大予防のため,予定していた研究補助員の雇用時間について,その調整が付かなかったため.
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Research Products
(3 results)