2022 Fiscal Year Research-status Report
制御則と通信則の同時最適化によるネットワーク化制御の性能向上
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20K14763
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡野 訓尚 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80778209)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有限データレート制御 / イベントトリガ制御 / アクチュエータ配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き,主に「イベントトリガ制御機構における時刻情報を利用した省データレートフィードバック信号による安定化」について研究を行った.これは,イベントトリガ制御では,イベント発生条件がプラントの出力と関連付けれられることを利用して,イベント発生時刻からプラント状態の推定に有用な情報を得る手法である.これにより,フィードバック信号の通信パケットにペイロードとして含まれるビット列以上の情報量をコントローラ側で得ることができる. 本年度は,昨年度検討したイベントの発生条件,ペイロードに含める情報のエンコード方法,それらを利用した場合の安定性解析についての基本的な成果を踏襲しつつ安定性の定義について見直しを行い,理論的成果を修正した.これにより,関連する先行研究との関係が明確になったほか,証明の不備を修正することができた.結果はシステム制御情報学会論文誌に掲載された. これ以外に,システムを制御するために最適なアクチュエータの配置を求める問題に取り組んだ.これは,多数のアクチュエータの配置候補から,最適制御を行った際のコスト値が最小となる組み合わせを求める問題で,効率的に最適解を求めることが難しい問題として知られている.本研究では貪欲法に基づく近似解法で得られる解について,最適解との乖離を理論的に保証する結果を得た.貪欲法は,評価関数が劣モジュラであれば近似解の性能保証が可能である.本研究で対象とする最適制御コストは劣モジュラではないため,それを拡張した概念を用いて近似解の性能保証を導いた. 以上の成果はフィードバック制御における信号の情報について,制御における価値を明らかにするもので,本課題の主題に深く関連する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度から引き続き取り組んでいる問題については成果を得ているが,それらの成果を,制御則と通信則の同時最適化へ発展させる点ではやや遅れている.とくに,制御における情報の価値定量化については解析的なアプローチを試みているが,問題が複雑になり解決に至っていない.次年度では新たなアプローチを試みる.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに未解決の「制御における情報の価値の定量化」について,従来の数学的なアプローチに加えて,新たに数値的なアプローチを検討する.具体的には,機械学習を利用した定量化に取り組む.数値シミュレーションにより生成した信号を教師データとしてフィードバック信号のもつ情報が制御にどれだけ有用かを推定する.通信という離散的な事象を機械学習が有効な最適化問題として定式化することが課題となる.
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Causes of Carryover |
感染症対策として多くの学会や打ち合わせがオンライン開催となったため,旅費の支出が予定より少なかった.次年度は対面開催が本格化する見込みであるため,旅費として使用する.
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Research Products
(3 results)