2020 Fiscal Year Research-status Report
スケーラブルな通信に基づくセンサネットワーク上の高精度状態推定
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20K14765
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
足立 亮介 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (40845187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイバーフィジカルシステム / IoT / 状態推定 / センサネットワーク / マルチエージェントシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
IoT時代が到来した.IoT時代では,スマートグリッドなどのスマートな次世代型インフラシステムの実現が求められている.このような社会システムの制御では,スマートメータなどから得られた大量の情報をリアルタイムで処理し利用する事が求められる.このためには,高速で大容量な無線ネットワークが求められる.現在でも5Gの通信システムの整備が急ぎ進められているが,IoTが加速していくこれからの社会では常に通信システムの想定を上回る通信量の増加が見込まれる.このような通信量が飽和し続ける状況では,処理を分散化し通信量を削減できるシステム運用のフレームワークが必要となる. このような背景に対して, センサネットワーク上の推定問題では増加し続ける観測情報を適切に削減して,ネットワーク上で一度に通信する通信量を低減させる方法が議論されてきた.しかし,各ノードが推定問題を解くために必要とする情報が適切に確保されない場合,推定問題の性能を表す収束速度や推定精度と通信量との間にトレードオフが発生する事が知られているよって,本研究ではこのトレードオフが発生しないような通信削減手法を提案する.この目的達成のために本研究が着目した点は(1)集中型の最適推定器と同じ推定値を得られる観測情報の低次元化(2)観測情報の低次元化をネットワーク上で実行するスケーラブルな通信則である. 推定精度に関しては,各センサから得られる情報から観測ノイズの影響を最も少なくする仮の推定値を計算することが,推定精度を劣化させないために必要であることが判明した.また,これにより通信量の最大値が観測対象のモデルに依存して導出できることがわかった.また,推定精度の課題がセンサの観測情報に依存した最適化問題に帰着できることから,通信則の設計に分散最適化手法が適応可能であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定に従い,推定制度の向上と通信不可の削減を両立する通信手法の研究を進めている.本年度実施予定であった通信則の設計も,ネットワーク構造が限定的な条件から,一般的な構造への拡張することができたことから,概ね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の理論的な研究結果から,推定精度を劣化させない通信量の最大値を得られている.この通信量の最大値は保守的な値なため,センサの種類等では最大値を小さくすることが可能であると考えられている.これは研究計画当初は創造されていなかった結論であり,この点を深く検討する必要がある.
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Causes of Carryover |
昨年度はコロナ禍の影響により大幅に出張機会が減少したため予算が余った.本年度は次年度使用額を利用してシミュレーションソフトウェアおよび大規模計算機を購入し,実証実験を数値シミュレーションによって行う.
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Research Products
(9 results)