2020 Fiscal Year Research-status Report
制御リアプノフ関数による非入力アファイン非線形システムの制御
Project/Area Number |
20K14769
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
佐藤 康之 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (40738803)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 制御工学 / 制御理論 / 非線形制御 / 非入力アファインシステム / 最適化 / バックステッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,制御入力に関して線形でない(非入力アファインな)非線形システムに対する統一的な制御則設計法の確立を目指すものである.具体的な研究目的は以下の二つである. (1)これまでに入力アファインな非線形システムに対して提案されてきた,制御リアプノフ関数(CLF)と非線形最適化に基づいた制御則設計法を非入力アファインシステムに対して拡張するとともに,閉ループ系の安定性解析を行う (2)剛体の位置・姿勢制御系など,非入力アファインなサブシステムを含んだ階層構造を持つシステムに対して,制御リアプノフ関数を設計するためのバックステッピング法を構築する. 研究初年度である令和2年度は,研究目的(2)に関して,具体的なシステムとして剛体の位置・姿勢制御系を対象に検討を行った.結果として,バックステッピング法において重要な役割を果たす,誤差関数の設計方法に関する知見を得ることができた.また,研究目的(1)については,不連続な閉ループ系の安定性解析において必要となる一般化サンプル解についてより詳細な解析を行った.具体的には,一般化サンプル解の枠組みでの入力状態安定性について,制御リアプノフ関数との関連も含めて解析した.提案手法の実システムへの応用に関しては,当初予定していた4回転翼UAVの加えて,単位クォータニオン表現したロボットアームの手先位置姿勢制御への適用可能性についても検討した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,非入力アファインな(サブ)システムに対して制御リアプノフ関数を設計するためのバックステッピング法について,剛体の位置・姿勢制御系を対象に検討を進めた. 制御リアプノフ関数自体の設計には至っていないが,その肝となる誤差関数の設計方法に関する知見が得られているため,次年度につながる成果であると言える. 一方,研究目的(1)の制御則設計法については,やや理論構築が遅れている.その理由としては,不連続な状態フィードバックを適用した場合の安定性解析について,従来の結果だけでは不十分な点があることが判明したため,追加の理論解析が必要になったことが挙げられる.ただし,結果として一般化サンプル解の存在性や入力状態安定性に関する結果が得られたので,次年度に設計法を構築できるものと考えている. 応用面では,ロボットアームの手先位置・姿勢を二重単位クォータニオンで表現することで,提案手法を適用可能であることを確認した.
以上の観点から,遅れはあるものの,総合的に評価して次年度の成果につながる基礎的な結果が得られていると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
剛体の位置・姿勢制御系は4回転翼UAVやロボットアーム等の実システムへの応用に直結することから,まずは本年度に得られた知見をもとに制御リアプノフ関数を設計し,数値シミュレーションによりその有効性を確認したい.次に,この結果をより一般的な形の非線形システムに対して拡張することで,バックステッピング法を提案する. 制御則設計においては,制御リアプノフ関数を用いて定式化した最適化問題の解として制御則を設計し,閉ループ系の安定性解析を行って,その性能を明らかにしていきたい.
|
Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関変更に伴い,当初購入予定であったモーションキャプチャシステムを購入する必要がなくなったため.また,新型コロナウィルスの感染拡大に伴って学会がオンライン開催となったため,旅費を支出する必要がなくなったため. 次年度は,提案手法の有効性を検証するため,新たに小型ロボットアームの購入を予定している.また,本年度までに得られた研究成果の公表について,特に学術論文誌への投稿を重点的に行う予定である.そのための投稿料およびオープンアクセス料としても支出を予定している.
|
Research Products
(4 results)