2023 Fiscal Year Research-status Report
制御リアプノフ関数による非入力アファイン非線形システムの制御
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20K14769
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
佐藤 康之 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (40738803)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 制御工学 / 制御理論 / 非線形制御 / 非入力アファインシステム / バックステッピング / 制御リアプノフ関数 / 制御バリア関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,制御入力に関して線形でない「非入力アファイン非線形システム」に対する統一的な制御系設計法の構築を目指すものである. 本年度はまず,非入力アファイン非線形システムの具体的なクラスである二次入力システムに対する,制御リアプノフ関数と凸最適化に基づいた制御系設計法の検討を進めた. 具体的には,導入した(仮想的な)入力制約が狭義凸集合の場合には,この凸最適化問題の解として得られる状態フィードバック制御則は常に連続となることを理論的に示した.また,この凸最適化問題におけるKarush-Kuhn-Tucker(KKT)条件と(逆)最適制御におけるHamilton-Jacobi-Bellman(HJB)方程式を同一視することで,得られた制御則のロバスト性と仮想入力制約の形状の関係を,安定余裕の観点から議論できる可能性があることが分かった. 一方,バックステッピング法については,前年度にSO(3)上の剛体姿勢系に対して設計した制御バリア関数設計法と軌道追従制御則を組み合わせることで,姿勢制約を考慮した剛体姿勢の軌道追従制御が実現できることを明らかにした.この設計法に関連して得られた仮想入力に関する知見を応用することで,車両系の障害物回避制御においてもより現実的なアシスト入力を設計ができることも分かった.また,ドローンの障害物回避制御問題への応用を想定した,SE(3)上の剛体位置・姿勢系への拡張のための検討を進めている. 現実のシステムのアシスト制御においては,入力制約の下で安全性を保証することが重要であるが,この問題に対して,制御バリア関数とリファレンスガバナを組み合わせるアプローチを考案しており,車両系を対象として理論解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
制御リアプノフ関数と凸最適化に基づいた制御系設計では,理論的な解析はある程度進んでいるものの,数値例や具体的なシステムを想定した検討はまだ十分に行っていない. また,凸最適化の解として得られる制御則の連続性は明らかになったが,この制御則を用いた際の安定領域に関する議論も不十分である. バックステッピング法に関しては,ある程度の理論的な成果が得られているが,SE(3)への拡張がまだ完了していない.車両の障害物回避制御も含めて,応用面を視野に入れた解析・設計がまだ不十分である. 以上より,遅れはあるものの両方のアプローチにおいて,「仮想的な入力(や入力制約)」を適切に設計することで 望ましい性能を達成する制御系設計が可能になる,という共通する重要な結果や知見が得られており,更なる発展が期待できると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
制御リアプノフ関数と凸最適化による制御系設計では,凸最適化問題の解として得られた制御則を用いた場合の安定性に関して理論解析を進めるとともに,二次入力システムの数値例や四輪車両系などの具体的なシステムを対象とした設計と数値シミュレーションを行う.さらに,仮想入力制約と安定余裕の関係についても最適制御の観点から議論を進める.昨年度までにえられた成果を国内学会・国際会議で発表することも重要な課題である.
バックステッピング法においては,ドローンの障害物回避制御を達成するために,SE(3)上での制御バリア関数設計法を構築する.また,入力制約を考慮したアシスト制御においては,車両系の障害物回避制御を対象とした解析を進め,理論的に安全性が保証されること,および入力制約がみたされることを示す.本年度中にこの成果を学術論文として公表することを目指す.
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Causes of Carryover |
研究の遅延とそれに伴う論文執筆の遅れにより,研究成果公表のために予定していた論文掲載費・旅費・学会参加費の支出がなかったため. 次年度は研究成果公表のため,現在投稿中の学術論文・国際会議論文に関する論文掲載費・旅費・学会参加費としての支出を予定している.
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