2020 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化パッシベーション層によるペロブスカイト太陽電池の高性能化
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20K14774
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石川 良 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (90708778)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 表面偏析 / 自己組織化 / フッ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
[CH(NH2)]2]0.8Cs0.2PbI3 ペロブスカイト前駆体にフッ素系ポリマーを異なる濃度で添加しスピンコート、アニールによりペロブスカイト薄膜を形成した。 添加した フッ素系ポリマーの濃度に比例して平均二乗表面粗さが低減されることが判明し、X線光電子分光法により表面元素分析を行ったところフッ素原子が表面数~十数nmにのみに確認され、フッ素系ポリマーが偏析していることを示していた。また薄膜のフォトルミネッセンス測定で、フッ素系ポリマーを添加することにより発光強度が増加し、また強度の増加は結晶粒界近傍に集中していることが判った。蛍光寿命測定では、フッ素系ポリマーの添加により蛍光寿命が 18 ns から24 ns に伸びた。以上の結果より、自己偏析したフッ素系ポリマーがペロブスカイト層をパッシベーションしていることを示している。マイクロメートルサイズの大粒径・高結晶性ペロブスカイト薄膜を用いたペロブスカイト太陽電池でフッ素系ポリマー未添加では光電変換効率が逆方向(順報告)で18.1(13.5)%に対して、添加したものでは19.3(14.4)%を示した。 耐熱性に優れたポリアリルアミンに対して疎水性のフルオロテトラフェニルホウ酸塩を添加して電気伝導性を調査したところ、電気伝導率が最適となる添加量がポリアリルアミンの分子量により異なり、分子量が325 kDaと大きいもので最も電気伝導率が高くなった。これをよく用いられている正孔輸送層Spiro-OMeTADの代わりに用いてペロブスカイト太陽電池を作製し、85℃耐熱試験を行ったところ、20時間でSpiro-OMeTADでは初期の25%に低下したのに対して、ポリアリルアミンでは78%を維持していた。この際、ペロブスカイト層にはフッ素系ポリマーは添加していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フッ素系ポリマーを添加したペロブスカイト薄膜で期待通り表面に自己偏析しており、それがパッシベーション作用を示すことが判明した。またフッ素系ポリマーの濃度最適化とペロブスカイト層の粒径制御によりヒステリシスが減少しかつStabilized Power Outputが安定して出力可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
電子輸送層を、光触媒作用がありペロブスカイト層の劣化を促進してしまうTiO2ではなく、光触媒作用がなく電子移動度の高いSnO2とし、自己組織化パッシベーションを有するペロブスカイト層と疎水性ドーパンを用いた正孔輸送層との組み合わせでペロブスカイト太陽電池の高耐久化を試みる。 この際にはフッ素系ポリマーだけではなく、他のフッ素系低分子の添加についても検討する。
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Causes of Carryover |
新品購入予定のプログラム制御可能恒温恒湿槽は、より良い性能の中古品が入手出来たので購入費用が削減でき、また購入予定のソーラシミュレータは前年度別予算で購入できたため。 現在準備中の英語論文の英文校正費および投稿料に充てる予定である。
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