2021 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化パッシベーション層によるペロブスカイト太陽電池の高性能化
Project/Area Number |
20K14774
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石川 良 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (90708778)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / フッ素系物質 / 表面偏析 / 自己組織化 / 酸化スズ / 有機半導体 / 耐久性 |
Outline of Annual Research Achievements |
([CH(NH2)2]PbI3)0.95(CsPbBr3)0.05ペロブスカイト前駆体にフッ素系低分子のトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン(TFPF)の添加濃度を0~2 mMまで変化させて成膜した。TPFP 0.1 mMでは仕込み組成として0.02 at%のX線光電子分光法の検出限界以下であるにも関わらずF 1sピークが僅かに検出され10 nmのエッチング後にF 1sピークが消失していることからTPFPが成膜過程で自己偏析していることが判明した。 TPFPの濃度を増加させるとF 1s/Pb 4f、(C-F)/(C=NH2+)比がいずれも上昇しTPFPの表面濃度が増加していることが判明した。一方、TPFPの添加によりX線回折や紫外-可視吸収分光では結晶性や吸収端の変化は見られなかった。これはLewis酸であるTPFPと同時にLewis塩基であるチオセミカルバジドを結晶性向上の為に添加しており、塩基濃度が10倍以上であったのでTPFPの添加による影響がなかったものと考えられる。 ガラス/フッ素ドープ酸化スズ/酸化スズ/ペロブスカイト/ Spiro-OMeTAD/銀構造のペロブスカイト太陽電池を作成したところ、TPFP未添加のものでは光電変換効率(PCE)が逆方向(順報告)で19.9(17.3)%に対して、最適添加量0.1 mMのTPFP添加素子では短絡電流密度と曲線因子が向上し20.5(20.5)%とヒステリシスが解消されると共に光電変換特性が改善した。一方、0.1 mM以上の添加では主に曲線因子の低下によりPCEは低下した。60秒の安定化出力(SPO)測定では,TPFP無添加ではSPOが18.9%、 0.1 mM TPFP後処理の19.6%に対して0.1 mM TPFP添加素子では20.4%とJ -V曲線から得られたPCEと同等の出力が得られた。
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