2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a semiconducting diamond for neutron imaging
Project/Area Number |
20K14776
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
増澤 智昭 静岡大学, 電子工学研究所, 講師 (40570289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / 中性子 / 放射線検出器 / 界面物性 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,持ち運び可能な機材による中性子イメージングを実現するため,ダイヤモンドを用いた中性子センサを提案し,センサ構造の試作と実証研究を行った.ホウ素を高濃度に含む半導体ダイヤモンドを用いることで,ホウ素(B-10)の中性子捕獲反応により熱中性子を効率良く検出できる.以下の3つの研究目標を設定し研究を進めた.(i)センサのための半導体ダイヤモンドの合成と評価(2020年度-2021年度前半)(ii)電極形成などセンサ試作のための要素技術開発(2021年度)(iii)放射線信号読み出しの実証実験(2021年度後半-2022年度). 本研究により,半導体ダイヤモンド合成技術と,電極形成などセンサ作成の要素技術を開発し,ホウ素添加ダイヤモンドをコンバーター層として組み込んだ積層型ダイヤモンド中性子センサを試作した.多結晶ダイヤモンドを用い,センサを薄膜構造にすることでコンバーター内蔵型センサに近い動作が得られ,中性子信号の検出に成功した. さらに,積層構造により,中性子センサの感度が大幅に向上できることが明らかとなり,研究構想時の予想を超えてセンサの感度を向上できる新しい動作モデルを見出した. また,ダイヤモンドへのホウ素・窒素補償ドーピングを行い,当初狙いであった抵抗率の向上を実証し,センサの暗電流低減による信号ノイズ比の改善に成功した.今後は補償ドーピングの最適化による高抵抗化で中性子センサのさらなる高感度化を実現し,社会の安全・安心を支える基盤技術となる中性子イメージングを実現する.
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