2021 Fiscal Year Annual Research Report
多接合太陽電池を指向した剥離ー再接合可能かつ最適禁制帯幅を有す化合物発電層の創出
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20K14780
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西村 昂人 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 助教 (80822840)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多接合型太陽電池 / 化合物半導体 / カルコパイライト / 二次元層状物質 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / ファンデルワールス力 / 界面密着性 / 素子剥離 |
Outline of Annual Research Achievements |
多接合型太陽電池用Cu(In,Ga)Se2(CIGS)系トップセルの実現に向けて、(1)禁制帯幅1.65eVのCIGS系発電層の高品質化、および(2)ガラス基板上CIGS太陽電池の素子剥離法の開発を実施した。
(1)トップセルとして利用できる禁制帯幅1.65eVを有したCuGaSe2発電層の高品質化に向けて、Ag添加による薄膜結晶品質の検証に取組んだ。Agを添加することで、不十分な結晶成長に伴う未反応のCa2Se3異相を抑制できることが明らかとなった。また、再結合中心となり得る欠陥準位の低減と共に、25.5 meVから21.1 meVまでアーバックエネルギーが減少することを見出した。電子顕微鏡法を用いて、Agが添加されたCuGaSe2結晶粒の観察を行ったところ、Ag添加量に伴って結晶粒径が大幅に増大することが分かった。Ag添加技術が、トップセル発電層材料として有望なCuGaSe2発電層の高品質化に有効であることを示した。
(2)多接合型太陽電池用CIGS系トップセルの開発を目的として素子剥離技術の開発を実施した。従来のガラス基板上で作製されるCIGS太陽電池のMo裏面電極とCIGS発電層との接合界面において、二次元層状物質として知られるMoSe2を層状成長(c軸配向)させることで、MoSe2 原子層間の弱いファンデルワールス力により適切な界面密着性を実現し、容易に素子剥離できることが分かった。CIGS太陽電池を剥離し、剥離後の電池特性を評価したところ、剥離前の変換効率と比較して95%の高い性能保持率を得ることができた。さらに、多接合型太陽電池のトップセル応用を想定して、ボトムセルで吸収するための長波長光を透過できる、半透明なCIGS太陽電池の素子構造についても検討を行った。剥離後のCIGS太陽電池において、裏面透明電極として酸化インジウム・スズ(ITO)を積層した結果、変換効率10.4%の半透明構造を有するフレキシブルなCIGSトップセルの動作実証に至った。
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Research Products
(5 results)