2020 Fiscal Year Research-status Report
半金属材料をチャネルとする電荷-スピン偏極度制御型スピン電界効果トランジスタ
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20K14784
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉住 年弘 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (00838039)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スピン電界効果トランジスタ / 半金属材料 / スピン偏極度制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は電子と正孔のキャリア濃度が漸近する半金属材料をチャネルとする電荷-スピン偏極度制御型スピン電界効果トランジスタ(スピンFET)の基礎研究である。本研究にて提案する電荷-スピン偏極度制御型スピンFETでは、半金属材料をチャネルとすることで両極のゲート電圧に応答可能としたFETにおけるメインキャリア制御の自由度をスピントランジスタへ導入することを目指している。本年度は、チャネル材料としてイッテルビウム(Yb)を採用しバックゲート型のFETを作製して動作確認を行った。実験ではYbチャネルを2nmから100nm程度の膜厚範囲で成膜して電界応答の特性を評価した。その結果、Ybチャネルの膜厚を2-5nm程度としたFET試料にて電界応答を観測した。この結果より、Ybをチャネル材料とする場合においてFETとしての電界応答をさせるには数nm程度の薄膜トランジスタ(TFT)とすることが有用であることを確認することができた。従来のFETにおいてはチャネルには半導体材料を用いることが定石であるが、本研究では半金属材料をチャネルとするスピンFETの開発を目的としていることからYbをチャネル材料としたFETの電界応答において数nm程度の薄膜とすることが有効であるとわかったことは半金属材料をチャネルとするスピンFETの研究開発において有用な知見となる。本年度の研究成果を活かし、次年度ではチャネル材料にビスマス(Bi)半金属材料を採用した両極電界応答型FETの作製を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ybを数nm程度の薄膜チャネルとしたバックゲート型TFTを作製し、その応答特性を評価することで電界効果を観測することができている。この結果から、半金属材料をチャネルとする場合には薄膜とすることが有効であると期待される。現時点で、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度にて、バックゲート型YbチャネルTFTにより電界効果が観測されたことから、今後のスピンFETへの研究展開はチャネル材料の膜厚を数nm程度のTFTデバイスとして研究を推進する。
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Causes of Carryover |
研究開始後の状況により、当初予定していたグローブボックスの導入をやめ、イオンコータなどのより研究に必要となった装置を導入した。その他の物品で導入時期などの理由により使用を延期した分の予算は、次年度分とともに研究に必要な装置などへの使用計画とする。
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