2020 Fiscal Year Research-status Report
ニューロンMOSFETを用いた最小ユークリッド距離検索連想メモリに関する研究
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20K14795
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
原田 裕二郎 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 助教 (80849282)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 連想メモリ / ユークリッド距離 / 集積回路 / 類似検索 / 一致検索 |
Outline of Annual Research Achievements |
連想メモリは、入力したデータとデータベースに保存されている複数の参照データを比較し、一致または最も類似するデータを検索する機能メモリの1つである。類似度の指標には、ハミング距離やマンハッタン距離、ユークリッド距離等があり、その中でもユークリッド距離を求めるには、2乗の演算が必要であるため、回路規模が大きくなってしまうという問題点があった。そこで、ニューロンMOSFETおよびMOSFETの特性を利用することで、簡単な回路構成の最小ユークリッド距離検索連想メモリを実現できるのではないかと考え、本研究に着手し、2020年度は以下の研究成果を得ることができた。 (1)MOSトランジスタの飽和領域において、ドレイン電流は、ゲート-ソース間に印加する電圧の2乗に比例する特性を利用しユークリッド距離の計算を行う予定であった。しかし、実際のCMOSプロセスでは、理論通りの特性が得られず、この手法では安定して動作するユークリッド距離検出回路の設計が不可能であることが判明した。 (2)(1)の理由により、再度回路構成の検討を行った結果、ニューロンMOSFETの特性を利用することで、従来回路に比べて回路構成が簡単で、回路規模を小さくできる新しい方式のユークリッド検出回路の発案に至った。新しい提案回路の動作は、電子回路シミュレータであるHSPICEを用いてその動作を確認した。 (3)2021年度は、(2)で考案したユークリッド距離検出回路の集積化を行う予定であるため、そのための設計環境を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗はやや遅れており、理由は大きく2つある。1つは、当初計画していたユークリッド距離検出回路の動作が不安定であることが判明し、新しい回路構成の検討を行う必要があったためである。また、新型コロナウイルスによる遠隔授業の準備や校務に追われ、研究時間を確保することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい方式の最小ユークリッド距離検索連想メモリの集積化を行い、その性能をシミュレーションおよび実チップを用いた実験により評価したいと考えている。また、ユークリッド距離検出回路を連想メモリに組み込み、ユークリッド距離が最小のデータを検索する最小ユークリッド距離検索連想メモリの設計に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの対応に追われ研究時間を確保できず、また、当初設計していた回路の仕様変更が余儀なくされたため、予定していた集積回路の試作を行えなかった。また、予定していた海外出張も行くことができず次年度使用額が生じた。
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