2022 Fiscal Year Annual Research Report
エトリンガイト二次生成により劣化したコンクリートの性能予測手法の構築
Project/Area Number |
20K14802
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 賢之介 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20821606)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エトリンガイト二次生成 / DEF / ASR / ASR生成物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、エトリンガイト二次生成が原因となるDEFと複合劣化が生じることが報告されているアルカリシリカ反応(ASR)の影響について検討を実施した。ASRとDEFは相互に化学的影響を及ぼし複合劣化すると考えられているが、相互作用のメカニズム解明には至っていない。そこで、ASRにおける反応生成物(ASR生成物)がエトリンガイト二次生成に及ぼす影響について、合成水和物から成る単純な実験系を用いて直接的に明らかにすることを目的とし検討を行った。 具体的には、モノサルフェート(Ms)および、化学組成としてCa/Si比とK/Na比を変化させたASR生成物を純薬合成し、合成Msに共存物質としてASR生成物を質量比1:1として混合し、硫酸ナトリウム水溶液を用いて練り混ぜを行った。練り混ぜ後の試料は、飽和塩溶液を用いてR.H.11%の真空デシケータ内で乾燥させ、XRD測定によりエトリンガイトをはじめとした生成物の形成状況を、またFT-IR測定により生成物の原子結合状態を評価した。 XRD結果より、Msに対していずれのASR生成物を共存させた場合でも、Msが反応せず多量に残存していることが確認され、ASR生成物はMsの溶解を抑制していると考えられた。一方で、ASR生成物を共存した場合のエトリンガイト生成量は、顕著ではないものの僅かながら増大した。このことから、ASRゲルの共存下ではEttがやや二次生成しやすくなることが示唆された。またFT-IR結果では、ASR生成物共存試料において生成したエトリンガイト中のSO42-縮重伸縮振動のピークが、通常よりも高波数位置にシフトしていることが確認された。このことから、ASR生成物は二次生成したエトリンガイトの水分状態や結合状態を変化させている可能性が示唆されたが、この点については今後より詳細な検討が必要である。
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Research Products
(2 results)