2020 Fiscal Year Research-status Report
中性化したセメント系材料が高温および水の作用を受けた場合の微視的性状
Project/Area Number |
20K14804
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高橋 駿人 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 助教 (30861786)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セメント系材料 / 複合劣化 / 中性化 / 高温 / 溶脱 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造物に用いられるセメント系材料は,供用機間中に中性化するが,その影響を考慮して変質メカニズムを明らかにした例は見当たらない.そこで本研究は,セメント系材料の中性化の有無が,高温および水の作用による変質メカニズムに与える影響を力学的分析,化学的分析,内部構造分析の観点から評価することを目的としている.昨年度は,セメント系材料の中性化時の環境湿度について着目し,メカニズムに与える影響について詳細に検討することを目的として研究を実施した.種々の結合材を用いたセメントペーストを作製し,相対湿度を変えたCO2濃度10%の環境下で中性化試験を行い,長さ,質量変化の測定と,XRDおよびTG-DTAを用いた化学分析を行った.高炉スラグで80%置換したセメントペーストに着目すると,長さ,質量変化から,RH20%で中性化した場合よりも,RH60%で中性化した場合の方が,長さ減少率および質量減少率は大きいことが明らかになった.XRDによる分析結果から, RH20%環境下で中性化した場合ではCalciteのピークしか検出されなかったが,RH60%環境下で中性化した場合では,Calciteに加えVateriteのピークが検出された.またTG-DTAによる分析結果から,RH60%の方が炭酸カルシウムの含有率が高かった.このことは,生成する鉱物が多形であることが影響していると考えられる.以上より,RH60%で中性化した場合の方が,生成する鉱物が異なり,中性化による長さおよび質量の変化が大きいことが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は,供試体の作製し,非中性化供試体および中性化供試体を用意することができ,また中性化時の環境湿度が中性化のメカニズムに与える影響を整理できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,昨年度の知見である環境湿度毎の中性化メカニズムを整理した上で,中性化したセメント系材料の高温加熱後の基礎的性状の解明を行う予定である. 中性化の有無がコンクリートの高温に対する影響を解明する実験を行う.非中性化供試体,中性化供試体それぞれに対して,高温加熱前後の力学的試験による力学的特性,化学的試験によるセメント水和物形態の特徴,X線CT法によるひび割れについてそれぞれの変化を分析評価する.
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