2021 Fiscal Year Research-status Report
中性化したセメント系材料が高温および水の作用を受けた場合の微視的性状
Project/Area Number |
20K14804
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高橋 駿人 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 助教 (30861786)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セメント系材料 / 複合劣化 / 中性化 / 高温 / 溶脱 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造物に用いられるセメント系材料は,供用機間中に中性化するが,その影響を考慮して変質メカニズムを明らかにした例は見当たらない.そこで本研究は,セメント系材料の中性化の有無が,高温および水の作用による変質メカニズムに与える影響を力学的分析,化学的分析,内部構造分析の観点から評価することを目的としている. 昨年度は,セメント系材料の中性化時のCO2固定量および効率性を把握することを目的に,供給条件がCO2固定量に与える影響を実験・解析の両面から検討した.種々の結合材を用いたセメントペーストを作製し,JIS A 1153での促進中性化試験を基準に,炭酸水を用いた乾湿繰返し方法を実施し,CO2固定量の評価をTG-DTAを用いた化学分析を実施した.その結果,配合によらずJIS A 1153での供給方法よりも乾湿繰返しの方がCO2の固定量が大きいことが明らかになった.また,普通ポルトランドセメントを高炉スラグ微粉末で70%置換したセメントペーストは固定量が大きく,水酸化カルシウムが炭酸化した後も更に固定している傾向が得られた.さらに長い期間をかけて,最大固定量を明らかにする必要がある. また熱力学的相平衡計算を用いた固定量計算の結果,配合の違いが固定量に与える影響を定量的に明らかにできた.今後は,速度論を考慮した効率的な供給条件を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は中性化の有無が,高温および水の作用による変質メカニズムに与える影響を評価することを目的としているが,現在は中性化によるメカニズムをメインで検討しており,高温および水の作用を受けた変質メカニズムへの検討までには至っていないため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は6月までに,中性化がセメントペーストの変質に与えるメカニズムを整理して,中性化のシナリオを決定する.その後,各配合でセメントペーストを作製し,中性化,高温処理,水の作用を連続的に受けた後の,力学的性能,化学的変化,微細構造評価の各種分析を行って,中性化の有無が,高温および水の作用による変質メカニズムを体系的に整理する.
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