2020 Fiscal Year Research-status Report
地震被災RC造建築物の被災度区分判定における精度向上対策およびその妥当性検討
Project/Area Number |
20K14815
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
権 淳日 大阪工業大学, 工学部, 講師 (70847847)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 残存耐震性能評価 / 損傷度 / 被災度 / 鉄筋コンクリート造 / 耐震性能残存率 / 損傷量 / 変形量 / 塑性率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,実際の地震被災現場状況により部材に表出する損傷を確認できない可能性が高いため,骨組の崩壊機構の特定が建物の残存耐震性能評価結果に与える影響を明らかにすることを主目的としている。 そこで,本年度(令和2年度)では研究実施計画の通り,まず既実施した鉄筋コンクリート造(以下:RC造)梁部材の静的載荷実験結果に基づいて,その損傷量と変形量の相関関係について検討した。ここで,損傷量はひび割れ幅やコンクリート剥落などにより評価した損傷度を適用し,変形量は降伏変位に対する経験変位の比により定義した塑性率を用いた。その検討結果により,RC造梁部材の損傷度と塑性率の相関関係を定量的に把握でき,今度のRC造架構の解析による残存耐震性能評価において,損傷度と塑性率の相関モデルを適用可能となった。 また,既実施したRC造実大多層建物の振動台実験結果に基づき,地震被災現場調査において天井や壁などの影響により梁の損傷状態を確認することができない場合を想定し,「調査者の視認結果に基づき想定された崩壊機構と真の崩壊機構との差異」および「調査可能な部材数の多少」が耐震性能残存率の評価結果の精度に与える影響を定量的に検討した。 更に,上記の検討結果に踏まえ,計測不可能な梁部材における損傷度の取り扱い方法など地震被災現場の実状を考慮したRC造建物の残存耐震性能評価の精度を向上するための対策(案)を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(令和2年度)は研究実施初年度であり,研究実施計画の通り,解析手法の確立を念頭にRC構造部材に対する損傷度と変形量の相関モデルの構築について取り組んだ。ここで,コロナ禍の影響により,RC造梁部材の静的載荷実験は遅れているが,既実施した実験結果を用い損傷度と塑性率の相関関係について検討を行った。 また,研究実施二年目(令和3年度)の計画であった「梁の損傷や骨組崩壊機構がRC造建物の残存耐震性能評価結果の精度に及ぼす影響」について,既実施したRC造実大多層建物の振動台実験結果を用い検討を行った。更に,研究実施最終年度(令和4年度)の計画であった「RC造建物の残存耐震性能評価の精度を向上するための対策」についても検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究実施計画の通り進めて行く予定である。 令和3年度には,RC造梁部材の静的載荷実験を実施し,前年度の検討結果を加え,RC造梁部材の損傷度と塑性率の相関モデルを確定する。また,その相関モデルを適用し,RC造架構の静的荷重漸増解析を行い,梁の損傷や骨組崩壊機構がRC造建物の残存耐震性能評価結果の精度に及ぼす影響について更なる検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により,予定したRC造梁部材の静的載荷実験が遅れて,残額(次年度使用額(B-A))が生じた。この残額と翌年度分として請求した助成金は,主にRC造梁部材の静的載荷実験(試験体製作,計測物品購入などに関する費用)と研究成果発表(登録費,旅費など)に使用する予定である。
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