2020 Fiscal Year Research-status Report
設計想定外の極大地震作用に対する橋梁の構造制御法に関する基礎研究
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20K14816
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
井上 和真 群馬工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (50825982)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地震観測記録 / 2方向地震動 / 全方位応答スペクトル / 構造制御 / 複数回地震作用 / 漸増動的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年東北地方太平洋沖地震におけるK-NET築館,2016年熊本地震代表KiK-net益城にて観測された一連の地震動の全方位応答スペクトルを作成し,各地震動で卓越した方向を抽出することで,一連の地震動の方向性について分析した.その結果,両タイプの地震動で短周期側のほうが長周期側と比べて最大応答加速度の差が大きいことが分かった.また,タイプ別の一連の地震動で卓越した方位角の規則性がおおむね確認できた.しかし,統計的には,両タイプの地震動において,全方向で地震動が発生する可能性が高い.よって,一連の地震動の卓越した方位角には規則性があるものの,将来発生する地震動の卓越した方位角を予測することは難しいと推察することができた.つまり,水平2方向入力による構造物の耐震性能照査では,従来の1方向入力では考慮できない方向に卓越した地震動が発生する可能性があることが示唆された.以上のことから,水平2方向入力を考慮した構造物の耐震設計を行うことの重要性を確認することができた また,水平2方向入力が橋梁の地震時挙動に与える影響を評価するため,免震橋と制震橋モデルを対象に,前述の前震・余震を含む一連の地震動を入力とした地震応答解析と本震による漸増動的解析を実施した.制震橋では,IDA曲線から入力地震動や1次固有周期などの解析条件によらず最大応答変位比が2方向入力時に最大で10%程度増加したことが確認された.免震橋では,IDA曲線から入力地震動や1次固有周期などの解析条件によって最大応答変位比が2方向入力時に最大で30%程度の変動があることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強震動の観測記録を対象にした方向性の分析と免震・制震橋梁を対象にした地震応答解析を実施し,限定的なケースであるものの,橋梁の耐震性能照査における2方向入力地震動と2方向地震時挙動の傾向を把握することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
従来の耐震性能評価手法である水平1方向入力と比較して,水平2方向入力地震動の影響が大きいと考えられる偏心橋脚(都市内に見られるような逆L字型の橋脚)を対象に,免震・制震などを組み合わせた構造制御方法に着目し,3次元動的FEM解析を実施する.検討にあたり,最大地震応答値のみならず,復旧性を想定した残留変位にも着目する.
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Causes of Carryover |
COVID19の流行により,打合せや学会がオンラインで行ったことにより、当初予定していた旅費よりも少ない計上となった. 次年度は、多数の解析ケースによる3次元FEM動的解析を行う予定であり、解析用ワークステーションを中心に解析環境を整える.
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Research Products
(1 results)